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四国八十八ヶ所 ・ 愛媛県(伊予・菩提の道場)

第54番 近見山 宝鐘院 延命寺

縁起えんぎによると、養老四年、聖武天皇(在位724〜49)の勅願ちょくがんをうけた行基ぎょうき菩薩が、大日如来の化身とされる不動明王像を彫って本尊ほんぞんとし、伽藍がらんを建てて開いたと伝わる 愛媛県・伊予の第54番札所ふだしょです。
第54番 近見山 宝鐘院 延命寺 境内
境内(Reggaeman / CC BY-SA 3.0)
第54番

延命寺

本尊不動明王

のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うん たらた かんまん

御詠歌くもりなき鏡の縁とながむれば 残さず影をうつすものかな

愛媛県・伊予菩提の道場真言宗豊山派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
54

八十八ヶ所の道のりで、第54番は 愛媛県(伊予・菩提の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では54番目です。

第54番は愛媛県・菩提の道場。
不動明王(不動明王(醍醐寺『五大尊像』のうち・国宝))
「不動明王」(醍醐寺『五大尊像』のうち・国宝)醍醐寺蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒794-0081 愛媛県今治市阿方甲636
前後の札所前の第53番圓明寺から約35km(前の第53番円明寺から車遍路約35km・海沿いの長い平坦路)。次の第55番南光坊へ約4.2km。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

今治の市街地から西北へ6kmほどのところに、延命寺の山号にもなっている近見山という標高244mの山がある。延命寺はこの山頂一帯に七堂伽藍がらんを連ね、谷々には100坊を数えたと伝えられる。縁起えんぎによると、養老四年、聖武天皇(在位724〜49)の勅願ちょくがんをうけた行基ぎょうき菩薩が、大日如来の化身とされる不動明王像を彫って本尊ほんぞんとし、伽藍を建てて開いた。弘仁年間(810〜24)には、弘法大師こうぼうだいしが嵯峨天皇(在位809〜23)の勅命をうけ、伽藍を信仰と学問の中心道場として再興し、「不動院・圓明寺」と名づけて勅願所とした。この「圓明寺」の寺名は明治維新まで続いたが、同じ寺名の五十三番・圓明寺(松山市)と取り違えられることが多く、江戸時代から俗称としてきた「延命寺」へ改めた。その後も再三の火災で堂宇を焼失したが、そのたびに再興し、享保12年(1727)には火難を免れた本尊とともに現在地の近見山麓へ移った。この間、鎌倉時代の文永5年(1268)には、華厳宗の学僧・凝然(1240〜1321)が寺の西谷の坊に籠もり、初学者の仏教入門書といわれる『八宗綱要』を著した。「八宗」とは倶舎・成実・律・法相・三論・天台・華厳の各宗と、新しく興った浄土宗を指し、上下2巻に記されている。寺には四国で2番目に古い真念の道標も残る。境内には馬酔木の木があり、春の彼岸ごろから1ヵ月ほど可憐な白い花をつける。

弘法大師との関わり

弘法大師こうぼうだいしとの関わりについて、霊場れいじょう会公式サイトの縁起えんぎに記される内容を参照のこと。

おもな歴史
  • 寺名は明治維新まで「圓明寺」だったが、同じ寺名の五十三番・圓明寺(松山市)と取り違えられることが多く、江戸時代から俗称としてきた「延命寺」へ改めた。
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 山門もと今治城の城門の一つで、総けやき造り明治初期に今治城取り壊しの際に譲り受けた
  • 火伏せ不動尊本尊ほんぞん宝冠をかぶった珍しい不動明王像で、再三の火災から逃れているのでこの尊名が
  • 縁起えんぎによると、養老四年に聖武天皇(在位724〜49)の勅願ちょくがんにより、行基ぎょうき菩薩が大日如来の化身とされる不
  • その後、再三火災に遭い堂宇を焼失しているが、再興をくり返し、享保12年(1727)に難を免れた本尊と
  • 山門もと今治城の城門の一つで、総けやき造り。明治初期、今治城取り壊しの際に譲り受けた。
  • 火伏せ不動尊本尊。宝冠をかぶった珍しい不動明王像で、再三の火災から逃れたことからこの尊名がつく。
伽藍・主要堂宇
  • 山門・火伏せ不動尊・越智孫兵衛の墓(阿方の庄屋であった越智孫兵衛は、農民の窮乏を救い、享保年間の大飢饉でも餓死者を出さなかったと伝えられる。)
  • 延命寺は近見山の山頂一帯に七堂伽藍がらんを連ね、谷々には100坊を数えたと伝えられる。
  • その後も再三の火災で堂宇を焼失したが、そのたびに再興し、享保12年(1727)に火難を免れた本尊ほんぞんとともに現在地の近見山麓へ移った。
  • この間、鎌倉時代の文永5年(1268)、華厳宗の学僧・凝然(1240〜1321)が寺の西谷の坊に籠もり、初学者の仏教入門書といわれる『八宗綱要』を著した。
文化財・寺宝
  • OUV特記:平野部(今治)
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 本尊ほんぞんは不動明王。少しの曇りもない鏡のような不動明王との結縁と思って眺めれば、すべてを残さず映し出してくださるものだ。
  • 真言しんごんは「のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うん たらた かんまん」。
  • 宝号は南無大師遍照金剛/南無興教大師/南無専誉僧正。
伝説・説話
  • 今治の市街地から西北へ6kmほどのところに、延命寺の山号にもなっている近見山という標高244mの山がある。
  • 縁起えんぎによると、養老四年、聖武天皇(在位724〜49)の勅願ちょくがんをうけた行基ぎょうき菩薩が、大日如来の化身とされる不動明王像を彫って本尊ほんぞんとし、伽藍がらんを建てて開いた。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいか「くもりなき鏡の縁とながむれば 残さず影をうつすものかな」
  • 御詠歌は四国霊場れいじょう会の札所ふだしょ案内・納経のうきょう帳などで広く流通し、巡礼の道中で唱えられる。
ゆかりの人物
  • 開基は行基ぎょうき菩薩と伝わる。
  • 弘仁年間(810〜24)、弘法大師こうぼうだいしが嵯峨天皇(在位809〜23)の勅命をうけ、伽藍がらんを信仰と学問の中心道場として再興し、「不動院・圓明寺」と名づけて勅願ちょくがん所とした。
訪ねる方へ

参拝の手引き

年中行事
  • 初不動:1月28日
  • 節分祭:2月3日
  • お花まつり:4月8日
  • 越智孫兵衛・慰霊祭:8月7日
  • 施餓鬼法要:8月23日
  • 納め不動:12月28日
  • 除夜の鐘:12月31日
参拝の実際
  • 駐車場:あり ※冥加料あり
  • 電話:0898-22-5696
  • 納経のうきょう時間・拝観料は季節・行事で変わる場合がある。参拝前に電話または公式で確認を推奨。
周辺・遍路道
  • 前の第53番円明寺から約35km。海沿いの長い平坦路が続く。次の第55番南光坊へ約4.2km。
  • 円明寺を出たら、海沿いを走る国道196号線を北東へ進む。JR大西駅を過ぎてしばらく行くと、県道38号線へ続く細い道へ分岐する。38号線に入って1.4km走ると、道路沿いに延命寺入り口の看板がある。そこを左折し、300mほど進むと延命寺に着く。
アクセス
  • 〒794-0081 愛媛県今治市阿方甲636
公式・関連リンク
  • 近見山 宝鐘院 延命寺 公式サイト
  • 四国八十八ヶ所霊場会ページ
  • 霊場会
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

第54番 近見山 宝鐘院 延命寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
enmeiji.infoの公開ページ(enmeiji.info)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
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