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四国八十八ヶ所 ・ 愛媛県(伊予・菩提の道場)

第45番 海岸山 岩屋寺

標高700メートルの巨岩に抱かれた山岳霊場れいじょう。岩屋は国の名勝に指定され、こけら経の研究でも注目される修験しゅげんの古刹 御本尊ごほんぞんは不動明王です。 愛媛県・伊予の第45番札所ふだしょです。
第45番 海岸山 岩屋寺 境内
境内(Reggaeman / CC BY-SA 3.0)
第45番

岩屋寺

本尊不動明王

のうまく さんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うん たらた かんまん

御詠歌大聖のいのる力のげに岩屋 石のなかにも極楽ぞある

愛媛県・伊予菩提の道場真言宗豊山派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
45

八十八ヶ所の道のりで、第45番は 愛媛県(伊予・菩提の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では45番目です。

第45番は愛媛県・菩提の道場。
不動明王(不動明王(醍醐寺『五大尊像』のうち・国宝))
「不動明王」(醍醐寺『五大尊像』のうち・国宝)醍醐寺蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒791-1511 愛媛県上浮穴郡久万高原町七鳥1468
前後の札所前の第44番大宝寺(菅生山)から山岳部を越える長丁場。次の第46番浄瑠璃寺へ久万高原を下る。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

海岸山 岩屋寺は、標高700メートル、奇峰が天を突く山岳部に建つ。巨岩の中腹へ堂宇が埋め込まれるように建つ、典型的な山岳霊場れいじょうである。神仙境を思わせる境内は古くから修験しゅげん者の修行場とされ、さまざまな伝承が残る。寺域は国の名勝に指定され、県立自然公園の区域内でもある。

弘法大師こうぼうだいしがこの霊地を訪ねたのは弘仁6年(815年)と伝わる。そのころすでに土佐の女性が岩窟に籠って法華三昧を成就し、空中を自在に飛べる神通力を身につけて法華仙人と称していたという。仙人は大師の修法に帰依して全山を献上したとされる。大師は木造と石造の不動明王像を刻み、木像を本尊ほんぞんとして本堂に安置し、石像を奥の院おくのいんの秘仏として岩窟に祀った。そして全山をご本尊の不動明王として護摩修法を修したと伝わる。一遍上人(1239〜1289年)が鎌倉中期に参籠・修行したことは『一遍聖絵』にも描かれ、13世紀末ごろには不動尊像をはじめ護摩炉壇・仙人堂・四十九院の岩屋・三十三の霊窟などが残っていたと伝えられる。いつの頃からか第44番大宝寺の奥の院とされていたが、明治7年(1874年)に第一世住職が晋山した。明治31年(1898年)に仁王門におうもんと虚空蔵堂を残して全山が焼失したが、大正9年(1920年)に本堂より一回り大きい大師堂だいしどうを再建し、以後本堂・山門・鐘楼しょうろう・宿坊遍照閣・逼割不動堂・白山権現堂などが順次復興された。

弘法大師との関わり

弘仁6年(815年)、弘法大師こうぼうだいしが法華仙人の献上を受け、木造不動明王を本堂の本尊ほんぞんに、石造不動明王を奥の院おくのいんの秘仏として安置したと伝わる。全山をご本尊の不動明王として護摩修法を修し、智火を燈して修法を行った霊場れいじょうとして信仰が築かれたとされる。石造不動は岩窟に祀られたまま、山全体が修行の場として不動信仰と結びついている。

おもな歴史
  • 弘仁6年(815年):弘法大師こうぼうだいしが訪ね、木造・石造の不動明王を刻み霊場れいじょうとしたと伝わる(伝承)
  • 鎌倉中期:一遍上人が参籠・修行。『一遍聖絵』にその様が描かれる
  • 明治7年(1874年):第一世住職が晋山。大宝寺奥の院おくのいんから独立したとされる
  • 明治31年(1898年):仁王門におうもん・虚空蔵堂を残し全山焼失
  • 大正9年(1920年):大師堂だいしどう再建(国指定重要文化財)
  • 昭和2年(1927年):本堂復興
  • 昭和9年(1934年):山門復興
  • 昭和27年(1952年):鐘楼しょうろう復興
  • 昭和38年(1963年):宿坊遍照閣建立
  • 昭和53年(1978年):逼割不動堂・白山権現堂建立
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 国名勝の寺域巨岩と堂宇が一体となった山岳景観。
  • 岩屋・霊窟四十九院の岩屋・三十三の霊窟があったと伝わる修験しゅげんの遺構。
  • 穴禅定本堂に向かう石段の下にある修行の場。
  • 道開き不動納経のうきょう所下の曲がり角、虚空蔵堂の裏に安置。
  • 逼割禅定奥の院おくのいんから大師堂だいしどう奥の山道を辿る修行場。
伽藍・主要堂宇
  • 巨岩の中腹に本堂・大師堂だいしどうが建ち込まれ、奇峰と一体の景観をなす。
  • 大師堂は国指定重要文化財で、大正9年に本堂より一回り大きく再建された。
  • 本堂には木造不動明王(弘法大師こうぼうだいし作と伝わる)が本尊ほんぞんとして安置される。
  • 奥の院おくのいんの岩窟には石造不動明王が秘仏として祀られていると伝わる。
  • 仁王門におうもんと虚空蔵堂は明治31年の火災を免れ、現存する。
  • 護摩炉壇・仙人堂はかつて境内にあり、一遍上人の修行の場であったと伝わる。
  • 穴禅定は本堂に向かう石段の下にあり、身を修する修行の場として知られる。
  • 道開き不動は納経のうきょう所下の曲がり角、虚空蔵堂の裏に安置される。
  • 宿坊遍照閣(昭和38年)、逼割不動堂・白山権現堂(昭和53年)が境内を補う。
  • 七鳥(三宝鳥・慈悲心鳥・慈悲声鳥・鼓鳥・鈴鳥・笛鳥・鉦鼓鳥)の伝説や、イヨクジャク・イワヤシダ・イワヤスゲなどの植物も特徴として紹介される。
奥の院・霊跡
  • 奥の院おくのいんの岩窟に石造不動明王が秘仏として安置されていると伝わる。
  • 逼割禅定へは大師堂だいしどう奥の山道を辿る。
  • 法華仙人が籠った岩窟、四十九院の岩屋・三十三の霊窟の伝承が残る。
文化財・寺宝
  • 大師堂(国指定重要文化財、大正9年再建、本堂より一回り大きい)
  • 寺域(国の名勝)
  • 岩屋寺絵図(井上淳「岩屋寺絵図」『伊予史談』408号、2023年)
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 本尊ほんぞん不動明王の祈りの力により、岩屋の岩石の中にさえ極楽が現れると詠われる(御詠歌ごえいか)。
  • 木像と石像の二体の不動は、顕密修験しゅげんの信仰を象徴する。
  • 護摩修法は弘法大師こうぼうだいしが全山を舞台に修したと伝わり、不動信仰の中心である。
  • 穴禅定・逼割禅定は身を修する修行場として信仰が受け継がれている。
伝説・説話
  • 土佐の女性が岩窟で法華三昧を成就し、法華仙人となった。空中を飛ぶ神通を示したが、大師に帰依して全山を献上したと伝わる。
  • 一遍上人がこの古刹で参籠し、その姿が『一遍聖絵』に描かれる。
  • 鈴の音山河は現住職作詞・作曲のうたで、お遍路へんろさんをさわやかに送ると紹介される。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいか「大聖のいのる力のげに岩屋 石のなかにも極楽ぞある」は岩窟の不動信仰を詠じる。
  • 岩屋寺絵図は、近世の境内の姿を知る史料として注目される。
  • 御詠歌の結句は極楽・利益・守護など本尊ほんぞん信仰の要点を詠じ、参拝の心構えとして唱和される。
ゆかりの人物
  • 弘法大師こうぼうだいし:弘仁6年に不動明王を刻み霊場れいじょうを開いたと伝わる開基。
  • 法華仙人:土佐の女性で、岩窟修行の後に全山を献上したとされる。
  • 一遍上人:鎌倉中期に参籠・修行。
  • 明治以降の住職・檀徒:火災後の復興を支えた。
訪ねる方へ

参拝の手引き

参拝の実際
  • 山岳部のため、参拝には体力と装備が必要。冬季や悪天候の際は事前に確認を。
  • 電話:0892-57-0417
周辺・遍路道
  • 第44番大宝寺(菅生山)との山岳連続参拝は、遍路へんろの難所の一つ。
  • 松山ICから国道33号を久万方面へ。久万中学校前で左折して県道12号線に入り、国民宿舎古岩屋荘を約3キロ過ぎた右手。
アクセス
  • 車:松山インターチェンジから国道33号線を久万方面。久万中学校前で左折し県道12号線を走り、国民宿舎古岩屋荘を約3キロ過ぎた右手。
  • 〒791-1511 愛媛県上浮穴郡久万高原町七鳥1468
  • 0892-57-0417
  • あり(有料)
公式・関連リンク
  • 海岸山 岩屋寺 公式サイト
  • 四国八十八ヶ所霊場会ページ
  • 霊場会
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

Wikipedia「岩屋寺」(日本語版)
第45番 海岸山 岩屋寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
遍路案内資料(shikoku88-iwayaji.com)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
『伊予史談』(札所別研究記録に記載された書誌情報(公開本文のURLは未確認))
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