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  5. 矢印第16番 観音寺
四国八十八ヶ所 ・ 徳島県(阿波・発心の道場)

第16番 光耀山 千手院 観音寺

開眼の霊験と戒めの炎が語り継がれる寺 御本尊ごほんぞんは千手観世音菩薩です。 徳島県・阿波の第16番札所ふだしょです。
第16番 光耀山 千手院 観音寺 山門
山門(写真提供:ユリカモメ)
第16番

観音寺

本尊千手観世音菩薩

おん ばさら たらま きりく そわか

御詠歌忘れずも導きたまえ観音寺 西方世界弥陀の浄土へ

徳島県・阿波発心の道場高野山真言宗
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
16

八十八ヶ所の道のりで、第16番は 徳島県(阿波・発心の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では16番目です。

第16番は徳島県・発心の道場。
千手観音(絹本著色千手観音像(国宝))
「絹本著色千手観音像」(国宝)東京国立博物館蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒779-3123 徳島県徳島市国府町観音寺49-2
前後の札所前の15番国分寺から約2.0km。次の17番井戸寺へ約3.0km。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

寺に伝わる宝物に『観音寺縁起えんぎ』一巻がある。巻末に「享保十乙秋穀旦 南山沙門某甲謹書」の署名があり、享保10年(1725)に高野山の僧が筆写したことがわかる。その冒頭は「南海道阿波国名東郡観音寺邑 光耀山千手院観音寺縁起」と書き出される。そこには、観音寺が弘法大師こうぼうだいしによって創建され、大師自ら千手観音像を彫造して本尊ほんぞんにしたこと、脇侍像に悪魔を降伏する不動明王像と鎮護国家の毘沙門天像を刻んだこと、徳島藩主の蜂須賀綱矩公が新築・移転に協力したことなど、寺史が詳しく記されている。この『縁起』とは別に、寺伝では、聖武天皇(在位724〜49)が天平13年に全国68ヶ所へ国分寺・国分尼寺を創建したとき、行基ぎょうき菩薩に命じて勅願ちょくがん道場として建立した由緒ある古刹とされている。弘法大師がこの地を訪ねたのは弘仁7年(816)のころで、本尊像などを彫造して再興し、現在の寺名を定めたとされている。

その後は他の阿波各地の霊場れいじょうと同じように栄枯盛衰の運命を歩み、「天正の兵火」(1573〜92)にも罹災した。蜂須賀家の帰依を受けて万治2年(1659)に宥応法師によって再建され、現在に至っていると伝えられる。大正2年ころ、両親に連れられて参拝した盲目の高松伊之助という方が、本尊のご利益で目が見えるようになり、松葉杖を奉納したという話が語り継がれている。遍路へんろ道に面した和様重層の鐘楼しょうろう門は、むかしの面影を残し堂々とした風格がある。

千手観音を本尊とする住宅街の小さな寺だが、霊験譚の語りが色濃く残る。大正2年、讃岐の生まれつき盲目の高松伊之助という男性が「どうか目が見えるようになりたい」と一心に願い、観音寺に日参して千手観音に祈り続けた。満願の日、伊之助は突然光を感じ、ついに目が開いたと伝わっている。この開眼の実話は新聞にも取り上げられ、以来「目の観音さま」として眼病に悩む参拝者が各地から訪れるようになった。一方で戒めの話も残る。嫁ぎ先で姑をひどくいじめていた女性がこの寺に参拝した折、身につけていた遍路の白衣から突然火が燃え上がったとされる。火は女性の体には燃え移らず、白衣だけが焼け落ちた。女性は日頃の行いを深く悔いたと伝わり、その場面を描いた絵が今も本堂に掛かっている。境内の夜泣き地蔵は子どもの安眠にご利益があり、親子で訪れる参拝者が多い。規模は控えめながら、救いと戒めの物語が色濃く残る札所ふだしょである。

おもな歴史
  • 天平13年、聖武天皇が全国68ヶ所へ国分寺・国分尼寺を創建したとき、行基ぎょうき菩薩に命じて勅願ちょくがん道場として建立した由緒ある古刹とされている。
  • 弘法大師こうぼうだいしは弘仁7年(816)のころにこの地を訪れ、本尊ほんぞん像などを彫造して再興し、現在の寺名を定めたとされている。
  • 「天正の兵火」(1573〜92)にも罹災し、蜂須賀家の帰依を受けて万治2年(1659)に宥応法師によって再建され、現在に至っていると伝えられる。
  • 大正2年ころ、両親に連れられて参拝した盲目の高松伊之助という方が、本尊のご利益で目が見えるようになり、松葉杖を奉納したという話が語り継がれている。
  • 大正2年、讃岐の生まれつき盲目の高松伊之助という男性が「どうか目が見えるようになりたい」と一心に願い、観音寺に日参して千手観音に祈り続けたという。
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 夜泣き地蔵子供の夜泣きを止めてくれる地蔵尊。子供の病気平癒や健康と成長を祈願する。
  • 絵馬炎に包まれた女性を描いた奉納額で、本堂内に掲げられている。明治時代の遍路へんろの実話という。
  • 伊之助の開眼の実話。
  • 姑をいじめていた女性の白衣だけが燃え上がり、戒めを深く悔いた話。
  • 住宅街に佇む小さな寺だが、霊験譚の語りが色濃く残る。
  • 本堂には白衣から火が燃え上がった場面を描いた絵が掛かる。
伽藍・主要堂宇
  • 夜泣き地蔵は子どもの安眠にご利益があり、親子参拝が多い。
  • 千手観音を本尊ほんぞんとする住宅街の小さな寺だが、霊験譚の語りが色濃く残る。
  • 満願の日、伊之助は突然光を感じ、ついに目が開いたと伝わっている。
  • この開眼の実話は新聞にも取り上げられ、以来「目の観音さま」として眼病に悩む参拝者が各地から訪れるようになった。
奥の院・霊跡
  • 規模は控えめながら、救いと戒めの物語が色濃く残る札所ふだしょ。
  • 嫁ぎ先で姑をひどくいじめていた女性がこの寺に参拝した折、身につけていた遍路へんろの白衣から突然火が燃え上がったとされる。
  • 火は女性の体には燃え移らず、白衣だけが焼け落ちた。女性は日頃の行いを深く悔いたと伝わり、その場面を描いた絵が今も本堂に掛かっている。
  • 境内の夜泣き地蔵は子どもの安眠にご利益があり、親子で訪れる参拝者が多い。
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 大正2年、生まれつき盲目の高松伊之助が日参して開眼したという実話が新聞にも掲載された。
  • 以来「目の観音さま」として眼病に悩む参拝者が訪れる。
伝説・説話
  • 伊之助の開眼の実話。
  • 姑をいじめていた女性の白衣だけが燃え上がり、わが身の行いを悔いたという話。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいかは観音の導きと西方浄土を願う。
ゆかりの人物
  • 高松伊之助(開眼の霊験を授かった盲目の男性)。
  • 姑をいじめていた女性(戒めの譚)。
訪ねる方へ

参拝の手引き

参拝の実際
  • 住宅街にあるため駐車には配慮を。
  • 夜泣き地蔵は子育て祈願の対象。
周辺・遍路道
  • 前の15番国分寺から、次の17番井戸寺へ。
アクセス
  • 藍住ICから県道1号・国道192号経由、県道123号で国府町観音寺方面へ。
  • 〒779-3123 徳島県徳島市国府町観音寺49-2
  • 088-642-2375
  • 普通6〜7台・マイクロバス1台(午前7時〜午後5時・無料)
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

第16番 光耀山 千手院 観音寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
巡拝「四国八十八ヶ所 お遍路歩き」(junpai.co.jp)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
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