第88番 医王山 遍照光院 大窪寺

大窪寺
本尊薬師如来
おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
御詠歌南無薬師諸病なかれと願いつつ 詣れる人は大窪の寺
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第88番は 香川県(讃岐・涅槃の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では88番目です。

縁起と歴史
大窪寺は、四国八十八ヶ所霊場の結願の地である。徳島県境に近い矢筈山(標高788メートル)の東側中腹、山の窪地に建つ。寺伝によれば、養老元年(717年)に行基菩薩がこの地を訪れ、霊夢を感得して草庵を結んだと伝わる。弘仁6年(815年)には、唐から帰国した弘法大師空海が奥の院の岩窟で虚空蔵求聞持法を修し、等身大の薬師如来坐像を彫って本尊としたという。大師は唐の恵果阿闍梨から授かった三国(印度・唐・日本)伝来の錫杖を納め、「大窪寺」と名づけて結願の地と定めたとも伝わる。本堂西側の女体山には奥の院があり、大師が独鈷で加持して清水を湧かせ、その水を薬とともに服用して利益を得たと伝わる。早くから女性の入山を認めて「女人高野」として栄え、一時は百以上の堂宇を誇った。天正の兵火や明治33年(1900年)の火災で苦難を重ねたが、高松藩主の庇護と歴代住職の尽力により、結願の聖地として法灯を守り続けている。
弘法大師との関わり
弘仁6年(815年)、唐から帰国した弘法大師が奥の院の岩窟(胎蔵ヶ峰)で虚空蔵求聞持法を修し、堂宇を建立したと伝わる。等身大の薬師如来坐像を彫って本尊とし、恵果阿闍梨から授かった三国伝来の錫杖を納めて大窪寺と名づけ、八十八ヶ所の結願の地と定めたという。奥の院で独鈷加持により清水を湧かせたという伝承も、ここが大師の修行地であったことを物語る。
- 養老元年(717年):行基菩薩が草庵を結んだと伝わる(伝承)
- 弘仁6年(815年):弘法大師が岩窟で修法し、薬師如来を本尊とし結願の地と定めたと伝わる(伝承)
- 室町〜江戸期:女人高野として女性参詣を許し隆盛
- 天正年間:兵火により寺勢衰退
- 1900年(明治33年):大火により二天門以外の堂宇を焼失
- 明治期:本堂・大師堂・阿弥陀堂などを旧位置に再建
- 2007年(平成19年):鉄錫杖(三国伝来の錫杖)を重要文化財に指定
見どころ・伽藍
- 結願の寺四国八十八ヶ所の終点(逆打ちの起点でもある)
- 女人高野早くから女性の入山・参詣を認めた
- お砂踏み大師堂地下に八十八ヶ所すべての本尊を祀る道場
- 三国伝来の錫杖本堂奥殿に安置。国指定重要文化財(鉄錫杖)
- 金剛杖奉納結願した遍路の「同行二人」の杖を寶杖堂へ
- 柴灯護摩供春分の日と8月20日前後に金剛杖などを焚き上げ供養
- 二天門をくぐると正面に本堂がある。本堂は礼堂・中殿・多宝塔の奥殿からなり、奥殿に本尊の薬師如来と三国伝来の錫杖が安置される。
- 大師堂は石段を登った先にあり、その地下に八十八ヶ所の小さな本尊を祀るお砂踏み道場がある。一周すれば全霊場を巡拝したのと同じ利益が得られるとされる。足の弱い人や時間のない人のための巡礼施設として知られる。
- 大師堂脇の寶杖堂には、結願した遍路が奉納した金剛杖(同行二人の象徴)が納められる。
- 本堂西側の女体山に奥の院がある。大師が修法した岩窟と、独鈷加持で湧いたと伝わる清水が残る。
- 五大明王石像、心経塔、原爆の火(1988年より)なども境内に見られる。
- 奥の院は女体山の岩窟にあり、弘法大師が虚空蔵求聞持法を修した聖地とされる。
- 大師が本尊に水を捧げるため独鈷で加持すると清水が湧いたと伝わり、その水を薬とともに服用して利益を得る人も少なくない。
- 護摩山の頂上には巨岩があり、大師が一夜の庵を結んで護摩を修し鎮めたという「一夜庵」(43丁石)の伝承も残る。
- 鉄錫杖(三国伝来の錫杖):国指定重要文化財。2007年指定
- 名勝・重要文化的景観選定候補(世界遺産提案書):名勝○・文化的景観○。結願の寺
- OUV特記:結願の寺
信仰と物語
- 本尊の薬師如来は、大師が等身大に彫造したと伝わる。病苦を除くという信仰とともに、結願の地としての役割を担う。
- 御詠歌は「南無薬師諸病なかれと願いつつ 詣れる人は大窪の寺」と、結願の喜びと病除けの願いを詠む。
- 逆打ち遍路では第88番が起点となり、順打ちでは終点となる。いずれも「同行二人」の金剛杖とともに旅の節目を迎える場所である。
- 行基が霊夢を感得して草庵を結んだという先行の伝承。
- 大師が三国伝来の錫杖を納め、山の窪地(大窪)に寺を建てて結願の地と定めたという。
- 女人高野:女性の入山を早くから認め、百以上の堂宇を誇ったとされる。
- 結願した遍路が金剛杖を寶杖堂に奉納し、柴灯護摩供で焚き上げて供養する。
- 御詠歌「南無薬師諸病なかれと願いつつ 詣れる人は大窪の寺」
- 境内には御詠歌碑や句碑が立ち、結願の地としての文学的表現も残る
- 映画「ロード88」のロケ地にもなった
- 行基菩薩:草庵を結んだと伝わる。
- 弘法大師空海:結願の地を定め、薬師如来を彫造したと伝わる。
- 恵果阿闍梨:三国伝来の錫杖を授けたと伝わる。
- 高松藩主:明治期の再建を庇護した。
参拝の手引き
- 毎月12日(8月除く):本尊護摩供
- 毎月28日:不動護摩供
- 3月21日(春分の日):柴燈護摩供
- 8月20日前後:柴燈護摩供(金剛杖焚上げ。資料により8月11日・山の日とする記載もあり)
- 9月23日:土砂加持法要
- 12月22日(冬至):星祭法要
- 駐車場:あり(無料)
- 逆打ちの場合、納経帳・御影帳を大窪寺で購入できる
- 宿坊:なし
- 前の第87番長尾寺から約1.3km。結願後のお礼参りで第1番霊山寺へ約3.5km(遍路道は複数あり)。
- 前の第87番長尾寺から約1.3km。
- 結願後、お礼参り(北分)で第1番霊山寺へ向かう場合、国道377号を東へ約20km(ルートにより変動)。
- 高松自動車道「志度IC」から県道141号・県道3号、多和交差点を左折し、国道377号を道なり。
- 〒769-2306 香川県さぬき市多和兼割96
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

