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  5. 矢印第10番 切幡寺
四国八十八ヶ所 ・ 徳島県(阿波・発心の道場)

第10番 得度山 灌頂院 切幡寺

機織りの娘が即身成仏を遂げた、女性救済の霊場れいじょう 御本尊ごほんぞんは千手観世音菩薩です。 徳島県・阿波の第10番札所ふだしょです。
第10番 得度山 灌頂院 切幡寺 本堂
本堂(写真提供:ユリカモメ)
第10番

切幡寺

本尊千手観世音菩薩

おん ばざらたらま きりく

御詠歌欲心をただ一筋に切幡寺 後の世までの障りとぞなる

徳島県・阿波発心の道場高野山真言宗
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
10

八十八ヶ所の道のりで、第10番は 徳島県(阿波・発心の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では10番目です。

第10番は徳島県・発心の道場。
千手観音(絹本著色千手観音像(国宝))
「絹本著色千手観音像」(国宝)東京国立博物館蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒771-1623 徳島県阿波市市場町切幡字観音129
前後の札所前の9番法輪寺から約4.0km。次の11番藤井寺へ約10.0km(333段・山道)。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

切幡山の中腹、標高155メートルに境内がある。国指定重要文化財である大塔からの眺望はすばらしく、眼下には吉野川がゆったりと流れ、前方には四国山脈の雄大な山々が連なる。古く、この山麓に機を織る乙女がいた。ここで修法していた弘法大師こうぼうだいしは、結願けちがんの7日目、綻びた僧衣を繕うために布切れを所望された。乙女は、織りかけていた布を惜しげもなく切って差し出した。大師はこの厚意にたいへん感動し、「何か望みはないか」と尋ねた。乙女は、「父は都で薬子の変に関係して島流しとなり、母は身ごもっていたが、男の子が産まれればその子も咎を受ける。どうか女の子が産まれるようにと、清水の観音様に祈願し、やがてこの地に来て産まれたのが私です」といい、「亡き父母に代わり、観音様をつくってお祀りし、わたしも仏門に入って精進したい」と願いを告白した。

大師は強く心を打たれ、さっそく千手観音像を彫造し、乙女を得度させて灌頂を授けた。乙女はたちまちのうちに即身成仏し、身体から七色の光を放って千手観音菩薩に変身した。大師はこのことを時の嵯峨天皇に伝えた。天皇の勅願ちょくがんにより堂宇が建立され、自ら彫った千手観音像を南向きに、また即身成仏した千手観音像を北向きに安置して本尊ほんぞんにしたと伝えられる。得度山、灌頂院、切幡寺それぞれの名称も、こうした由縁による。麓は、巡礼用具店などがならぶ門前町となっている。「女人即身成仏の寺」として知られ、七色の光を放つ善女に憧れる女性からの人気が高い。

布を織っていた娘のもとに、旅の僧姿の大師が立ち寄り、布を求めたと伝わります。娘は惜しげもなく織りかけの布を切って差し出しました。その心に感じ入った大師が灌頂を授けると、娘の体から七色の光が放たれ、そのまま千手観音に変じたとされています。「女人即身成仏」の伝説として今も語り継がれ、女性の救いと信仰の原点ともいえる物語です。333段の石段は「女厄坂」33段と「男厄坂」42段に分かれ、一段一段を踏みしめること自体が厄を落とす修行と考えられてきました。登りきった先には、吉野川平野の眺望が広がります。山上で待ち受ける二重塔は、豊臣秀頼が大坂の住吉大社から秀吉の菩提ぼだいを弔うために移築した国指定重要文化財です。上層が和様、下層が唐様という日本唯一の構造様式を持ち、移築の際に海路と川船で運ばれたという逸話も寺に残ります。境内には大正時代に建てられた「はたきり観音像」が静かに立ち、伝説の娘を偲ぶ参拝者が花を手向ける姿が見られます。石段、伝承、眺望、建築が一体となった札所ふだしょです。

おもな歴史
  • 大正時代に建てられた「はたきり観音像」が静かに立ち、伝説の娘を偲ぶ参拝者が花を手向ける姿が見られます。
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 山麓から本堂まで約800メートル。333段の石段があり、女厄坂と男厄坂を上り切ると本堂に着く。
  • 切幡寺大塔は国指定重要文化財。
  • 333段の石段は「女厄坂」33段と「男厄坂」42段に分かれ、一段ずつ厄を落とす道とされる。
  • 登りきった先には吉野川平野の眺望が広がる。
伽藍・主要堂宇
  • 二重塔は豊臣秀頼が大坂住吉大社から移築した国指定重要文化財(上層和様・下層唐様、全国唯一の総二重塔)。
  • 大正時代建立の「はたきり観音像」が境内に立つ。
  • 布を織っていた娘のもとに、旅の僧姿の大師が立ち寄り、布を求めたと伝わります。
  • 娘は惜しげもなく織りかけの布を切って差し出しました。
  • その心に感じ入った大師が灌頂を授けると、娘の体から七色の光が放たれ、そのまま千手観音に変じたとされています。
奥の院・霊跡
  • 機織りの娘が布を切って差し出し、灌頂を受けて千手観音に変じた「女人即身成仏」の伝説の地。
  • 移築の際に海路と川船で運ばれたという逸話が塔に残る。
  • 「女人即身成仏」の伝説として今も語り継がれ、女性の救いと信仰の原点ともいえる物語です。
  • 333段の石段は「女厄坂」33段と「男厄坂」42段に分かれ、一段一段を踏みしめること自体が厄を落とす修行と考えられてきました。
  • 登りきった先には、吉野川平野の眺望が広がります。
  • 山上で待ち受ける二重塔は、豊臣秀頼が大坂の住吉大社から秀吉の菩提ぼだいを弔うために移築した国指定重要文化財です。
  • 上層が和様、下層が唐様という日本唯一の構造様式を持ち、移築の際に海路と川船で運ばれたという逸話も寺に残ります。
文化財・寺宝
  • 国指定重要文化財である大塔からの眺望はすばらしく、眼下には吉野川がゆったりと流れ、前方には四国山脈の雄大な山々が連なる。
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 女性の救済と信仰の原点ともいえる物語が今も語り継がれる。
  • 石段そのものが修行・厄除の場。
  • 境内には大正時代に建てられた「はたきり観音像」が静かに立ち、伝説の娘を偲ぶ参拝者が花を手向ける姿が見られます。
  • 石段、伝承、眺望、建築が一体となった札所ふだしょ。
伝説・説話
  • 娘が織りかけの布を惜しみなく切って差し出した。その心に感じ入った大師が灌頂を授けた。
  • 七色の光を放ち千手観音に変じた「女人即身成仏」。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいかは欲心を一筋に断ち切る教えを説く。
ゆかりの人物
  • 弘法大師こうぼうだいしが灌頂を授けた。
  • 豊臣秀頼が二重塔移築を行ったとされる。
訪ねる方へ

参拝の手引き

参拝の実際
  • 333段は急坂。水分補給と足元に注意。
  • 展望と二重塔は登りきった先にある。
周辺・遍路道
  • 9番法輪寺から。11番藤井寺へは山を越える。
アクセス
  • 土成インターチェンジから左折して、国道318号を鴨島方面へ進み、県道12号線(鳴門池田線)を市場町方面へ進み切幡変電所を右折すると標識がでているので道なりに進んで行くとたどり着きます。
  • 〒771-1623 徳島県阿波市市場町切幡字観音129
  • 0883-36-3010
  • 下の境内に普通20台 (中・大型は進入不可) 午前7時〜午後5時・無料
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

第10番 得度山 灌頂院 切幡寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
Wikipedia「切幡寺」(日本語版)
巡拝「四国八十八ヶ所 お遍路歩き」(junpai.co.jp)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
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