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四国八十八ヶ所 ・ 香川県(讃岐・涅槃の道場)

第75番 五岳山 誕生院 善通寺

弘法大師こうぼうだいし空海の誕生地。東寺・高野山とならぶ三大霊跡のひとつ。東院の伽藍がらんと西院の誕生院という二院が、約45,000平方メートルの境内に広がる 御本尊ごほんぞんは薬師如来です。 香川県・讃岐の第75番札所ふだしょです。
四国遍路の道をゆくお遍路の姿
四国遍路の道(平等寺オンライン / 平等寺オンライン撮影素材)
第75番

善通寺

本尊薬師如来

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

御詠歌我住まばよも消え果てじ善通寺 深き誓ひの法のともしび

香川県・讃岐涅槃の道場真言宗善通寺派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
75

八十八ヶ所の道のりで、第75番は 香川県(讃岐・涅槃の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では75番目です。

第75番は香川県・涅槃の道場。
薬師如来(薬師十二神将像)
「薬師十二神将像」高野山櫻池院蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒765-0003 香川県善通寺市善通寺町3-3-1
前後の札所前の第74番甲山寺から約1.8km(弘法大師誕生地)。次の第76番金倉寺へ約4.3km。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

五岳山 善通寺の創建については、『多度郡屏風浦善通寺之記』(江戸時代中期成立)に次のように記されている。唐から帰朝した弘法大師こうぼうだいしが、御父の寄進した四町四方の地に、師である恵果和尚の住した長安・青龍寺を模してこの寺を建立した。大同2年(807年)臘月(陰暦12月)朔日に斧始めを行い、弘仁4年(813年)6月15日に落慶し、父の諱「善通よしみち」をとって「善通寺」と号した。鎌倉時代には、佐伯家の邸宅跡に「誕生院」が建立された。江戸時代までは、善通寺と誕生院がそれぞれに住職を置く別の寺であったが、明治時代に善通寺として一つの寺になった。現在は真言宗しんごんしゅう善通寺派の総本山であり、四国八十八ヶ所しこくはちじゅうはっかしょ第75番札所ふだしょでもある。山号「五岳山」は、寺の西にそびえる香色山・筆山・我拝師山・中山・火上山の五岳に由来し、当地はかつて「屏風浦」とも称された。「誕生院」の院号は、大師御誕生の地であることを示す。御誕生所である善通寺は、京都の東寺、和歌山の高野山とならぶ弘法大師三大霊跡のひとつとして、古くから篤い信仰を集めてきた。総面積約45,000平方メートルの境内は、「伽藍がらん」と称される東院と「誕生院」と称される西院の、東西二院に分かれる。

弘法大師との関わり

善通寺は弘法大師こうぼうだいし空海の誕生地であり、開基者も大師自身とされる。唐から帰朝した後、父佐伯田公の寄進地に青龍寺を模した伽藍がらんを建立したと『屏風浦善通寺之記』に記される。西院の誕生院は佐伯家の邸跡に建ち、御誕生の由縁を今に伝える。御影堂には大師自筆と伝わる「瞬目ひめき大師」像が秘蔵される。御影堂の地下には約100メートルの「戒壇めぐり」があり、大師と結縁する道場となっている。御詠歌ごえいか「我住まばよも消え果てじ善通寺」は、大師と寺の誓願を詠んだものとして親しまれる。

おもな歴史
  • 774年(宝亀5年)3月21日:弘法大師こうぼうだいし空海が佐伯氏の邸で誕生したと伝わる(誕生院)
  • 807年(大同2年)臘月朔日:斧始め(『屏風浦善通寺之記』)
  • 813年(弘仁4年)6月15日:落慶し、父の諱「善通」から寺号を定めたと記される
  • 1558年(永禄元):三好実休の兵火で金堂が焼失
  • 1699年(元禄12年):現金堂の上棟
  • 1700年(元禄13年):御室大仏師北川運長が本尊ほんぞん薬師如来坐像(丈六・像高約3メートル)を造像
  • 1831年(天保2年):御影堂再建。昭和12年に大規模修築
  • 1845年(弘化2年)〜1902年(明治35年):現五重塔の再建(仁孝天皇の御綸旨)
  • 明治時代:善通寺と誕生院が合一
  • 現在:真言宗しんごんしゅう善通寺派総本山
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 誕生地弘法大師こうぼうだいし空海誕生の地。三大霊跡のひとつ。
  • 五重塔総高43メートル。善通寺のシンボル。ゴールデンウィークに五智如来4体を特別公開。
  • 金堂薬師元禄期の丈六薬師如来坐像。北川運長作。
  • 戒壇めぐり御影堂の地下約100メートル。暗闇の中で御宝号を唱える。
  • 東西二院創建時の伽藍(東院)と誕生院(西院)が、一体の境内を形づくる。
  • 五岳屏風浦五岳山の山号と屏風浦の旧称が、景観の由来を語る。
伽藍・主要堂宇
  • 東院「伽藍がらん」:創建時以来の寺域。金堂・五重塔・講堂などが建ち並ぶ。
  • 金堂:元禄12年(1699年)上棟。本尊ほんぞんの薬師如来坐像は元禄13年(1700年)、御室大仏師北川運長の造像。
  • 五重塔:総高43メートル。弘化2年(1845年)からの再建で、明治35年(1902年)に完成。初層に五智如来4体を安置。
  • 西院「誕生院」:大師御誕生の地である佐伯家邸跡。御影堂を中心とする。
  • 御影堂:天保2年(1831年)再建、昭和12年に大規模修築。奥殿に瞬目大師像。地下に戒壇めぐり(約100メートル)。
  • 境内全体は約45,000平方メートルに及ぶ、広大な二院構成。
奥の院・霊跡
  • 誕生院そのものが大師誕生の霊跡であり、西院全体が「奥」の信仰空間として機能する。
  • 佐伯家邸跡に御誕生の由縁が残り、御影堂と戒壇めぐりがその中心となる。
文化財・寺宝
  • 金堂(本堂):元禄12年(1699年)上棟。永禄の兵火後の再建。
  • 五重塔:弘化2年(1845年)再建開始、明治35年(1902年)完成。初層に五智如来像4体。
  • 御影堂:天保2年(1831年)再建。瞬目大師像を秘蔵。
  • OUV特記:空海誕生地・誕生院。伽藍がらん
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 本尊ほんぞんの薬師如来は丈六の巨像で、善通寺の守り本尊として金堂に安置される。
  • 誕生地であり開創の寺として、大師信仰と薬師信仰が一体となる。
  • 御詠歌ごえいかは大師の誓願と仏法の灯を詠み、総本山としての法脈を象徴する。
伝説・説話
  • 大師が唐の恵果和尚に入門し、青龍寺を模して善通寺を建立したと『屏風浦善通寺之記』に記される。
  • 父佐伯田公の諱「善通」から寺号を得たと伝わる。
  • 五重塔は大風や火災で幾度も倒壊・焼失したが、そのたびに再建されてきた。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいか「我住まばよも消え果てじ善通寺 深き誓ひの法のともしび」
  • 御詠歌は四国霊場れいじょう会の札所ふだしょ案内や納経のうきょう帳などで広く流通し、巡礼の道中で唱えられる。
ゆかりの人物
  • 開基・創建者は弘法大師こうぼうだいし空海。『屏風浦善通寺之記』が創建叙事の基礎資料。
  • 父である佐伯田公が寄進地を提供したとされる。
  • 師である恵果和尚(青龍寺)の影響が、伽藍がらんの設計に反映されたとされる。
  • 御室大仏師北川運長が、元禄期の薬師像を造像。
訪ねる方へ

参拝の手引き

年中行事
  • 3月21日:お大師さま御誕生会(誕生会)
  • ゴールデンウィーク:五重塔初層・五智如来像の特別公開
  • 年中行事の詳細は公式サイト(https://www.zentsuji.com/)を参照
参拝の実際
  • 宿坊あり(霊場れいじょう会の記載では約250人収容)。
  • 駐車場あり。西院誕生院側の大駐車場から参拝できる。
  • 五重塔・御影堂・戒壇めぐりなど見どころが多く、半日以上の滞在を要する場合がある。
周辺・遍路道
  • 前の第74番甲山寺から約1.8km(弘法大師こうぼうだいし誕生地)。次の第76番金倉寺へ約4.3km。
  • 善通寺ICから琴平町向きに国道319号線を進み、西原北交差点を右折して県道4号線を直進すると、西院の大駐車場に至る。
  • 涅槃ねはんの道場(讃岐)の後半に位置し、善通寺市の中心部にある。
  • 琴平・金倉寺方面への遍路へんろ道と接続する。
アクセス
  • 〒765-0003 香川県善通寺市善通寺町3-3-1
公式・関連リンク
  • 五岳山 誕生院 善通寺 公式サイト
  • 四国八十八ヶ所霊場会ページ
  • 霊場会
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

zentsujiの公開ページ(zentsuji.com)
第75番 五岳山 誕生院 善通寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
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