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四国八十八ヶ所 ・ 香川県(讃岐・涅槃の道場)

第84番 南面山 千光院 屋島寺

源平合戦の古戦場・屋島の南嶺に建つ古刹。鑑真の創建と伝わり、弘法大師こうぼうだいし作と伝わる十一面千手観音を本尊ほんぞんとする 香川県・讃岐の第84番札所ふだしょです。
第84番 南面山 千光院 屋島寺 境内
境内(Reggaeman / CC BY-SA 3.0)
第84番

屋島寺

本尊十一面千手観世音菩薩

おん ばさら たらま きりく

御詠歌梓弓屋島の宮に詣でつつ 祈りをかけて勇む武夫

香川県・讃岐涅槃の道場真言宗御室派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
84

八十八ヶ所の道のりで、第84番は 香川県(讃岐・涅槃の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では84番目です。

第84番は香川県・涅槃の道場。
千手観音(絹本著色千手観音像(国宝))
「絹本著色千手観音像」(国宝)東京国立博物館蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒761-0111 香川県高松市屋島東町1808
前後の札所前の第83番一宮寺から約5km。次の第85番八栗寺(五剣山)へ約4km。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

南面山 千光院 屋島寺は、高松市東部にある標高293メートルの火山台地・屋島の南嶺に建つ。屋島は那須与一の扇の的や源義経の弓流しで知られる源平合戦の古戦場で、島全体が国の史跡に指定されている。天平勝宝年間(749〜756年)、鑑真和上が開創したと伝わる。鑑真は唐の学僧で、朝廷の要請を受けて五度の渡航を試み、暴風や難破で失明しながら、天平勝宝5年(753年)に鹿児島へ漂着した。翌年、東大寺へ向かう途次に屋島の沖で山頂から立ちのぼる瑞光を感得し、北嶺に登って普賢堂を建て、持参の普賢菩薩像を安置し経典を納めて創建したと伝わる。その後、和上の弟子で東大寺戒壇院の恵雲律師が堂塔を建立して精舎を構え、「屋島寺」と称して初代住職になったとされる。弘仁6年(815年)、弘法大師こうぼうだいしは嵯峨天皇の勅願ちょくがんを受けて屋島寺を訪ね、北嶺にあった伽藍がらんを現在地の南嶺へ移し、十一面千手観音像を彫造して本尊ほんぞんとして安置したと伝わる。以後、大師は屋島寺の中興開山の祖として仰がれる。天暦年間(947〜957年)には明達律師が訪ねて四天王像を奉納したとされ、現在の本尊・十一面千手観音坐像はこのころに造られたとされて、国指定重要文化財となっている。本堂も国指定重要文化財で、鎌倉時代の造営とされる。戦乱で寺運は衰えたが、国主・生駒氏の寺領寄進や歴代藩主の援助で修築が重なり、鎌倉・江戸時代の風格を今に伝えている。宝物館改築に伴う境内発掘(川畑聰2007、OA取得)は、屋島合戦期の遺構を知る手がかりになっている。

弘法大師との関わり

弘仁6年(815年)、嵯峨天皇の勅願ちょくがんを受けた弘法大師こうぼうだいしが屋島寺を訪ね、北嶺の伽藍がらんを南嶺の現在地へ移し、自ら十一面千手観音像を彫造して本尊ほんぞんとして安置したと伝わる。中興開山として大師を仰ぎ、その後の寺史の中心に位置づけられている。御詠歌ごえいか「梓弓屋島の宮に詣でつつ 祈りをかけて勇む武夫」は、源平合戦の武士の勇気と参詣の祈りを重ねて詠む。

おもな歴史
  • 天平勝宝年間(749〜756年):鑑真和上が北嶺に普賢堂を建て開創したと伝わる(伝承)
  • 天平勝宝5年(753年):鑑真が鹿児島に漂着
  • 弘仁6年(815年):弘法大師こうぼうだいしが伽藍がらんを南嶺へ移し、十一面千手観音を本尊ほんぞんとしたと伝わる(伝承)
  • 天暦年間(947〜957年):明達律師が四天王像を奉納。現在の本尊像はこの頃の造営とされる
  • 1185年:屋島合戦(源平合戦のクライマックスの一つ)
  • 鎌倉時代:本堂造営(国重文)
  • 近世:生駒氏の寺領寄進、藩主の援助による修築
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 屋島合戦・源平史跡那須与一の扇の的、義経の弓流しなど、史跡が島全体に残る。
  • 十一面千手観音弘法大師こうぼうだいし作と伝わる本尊ほんぞん坐像(国重文)。
  • 平家供養の鐘鎌倉時代の梵鐘(国重文)。
  • 宝物館源平盛衰記絵巻、「源氏の白旗」、屋島合戦屏風など寺宝を展示。
  • 蓑山大明神四国狸の総大将「太三郎狸」を祀る。子宝・縁結び・家庭円満の神。
伽藍・主要堂宇
  • 本堂は鎌倉時代の造営で、国の重要文化財。本尊ほんぞんの十一面千手観音坐像を安置する。
  • 本堂の左手前に宝物館があり、本尊の複製や源平関連の寺宝を展示する。
  • 梵鐘ぼんしょうは鎌倉時代の作で「平家供養の鐘」と伝わり、国の重要文化財。
  • 本堂の右に蓑山大明神(太三郎狸)を祀る。子宝・縁結び・家庭円満の信仰がある。
  • 北嶺から南嶺へ伽藍がらんが移されたのは、弘法大師こうぼうだいしの中興と伝わる。
  • 屋島台地全体が源平合戦の舞台として史跡に指定され、寺はその南嶺に位置する。
奥の院・霊跡
  • 屋島全体が源平合戦の史跡(那須与一の扇の的、義経の弓流しなど)。
  • 宝物館の屋島合戦屏風・源平盛衰記絵巻が、合戦の様子を視覚資料として伝える。
文化財・寺宝
  • 木造十一面千手観音坐像(国指定重要文化財。天暦年間の造営とされる本尊ほんぞん)
  • 本堂(国指定重要文化財、鎌倉時代造営)
  • 梵鐘(国指定重要文化財、鎌倉時代。「平家供養の鐘」と伝わる)
  • 源平盛衰記絵巻物、「源氏の白旗」、屋島合戦屏風(宝物館展示)
  • OUV特記:屋島(史跡既指定)。屋島合戦
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 本尊ほんぞんの十一面千手観世音菩薩は弘法大師こうぼうだいしが彫造したと伝わり、天暦年間の坐像が国重文として現存する。
  • 御詠歌ごえいかは、屋島の宮に参じて祈り、勇む武夫を思う。源平合戦の舞台と武士の信仰が重なる。
  • 平家供養の鐘は、平家一門の供養と結びつく伝承を持つ。
  • 蓑山大明神(太三郎狸)は土地の氏神として、子宝・縁結びの信仰を集める。
伝説・説話
  • 鑑真が屋島の沖で瑞光を感得し、北嶺に普賢堂を建てたと伝わる。
  • 1185年の源平合戦で、屋島は平家の最後の籠城の舞台となった。那須与一の扇の的、義経の弓流しが語り継がれる。
  • 太三郎狸は四国狸の総大将として、屋島の神に親しまれている。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいか「梓弓屋島の宮に詣でつつ 祈りをかけて勇む武夫」は、源平の武士と参詣を結びつける。
  • 『源平盛衰記』絵巻・屋島合戦屏風は、文学・美術史の重要資料。
ゆかりの人物
  • 鑑真和上:天平勝宝年間の開創と伝わる。
  • 恵雲律師:鑑真の弟子で、屋島寺の初代住職とされる。
  • 弘法大師こうぼうだいし:弘仁6年の中興、十一面千手観音の彫造と伝わる。
  • 明達律師:天暦年間に四天王像を奉納。
  • 源義経・那須与一:屋島合戦の武将として史跡と結びつく。
  • 生駒氏・歴代藩主:近世の寺領寄進・修築を支援。
訪ねる方へ

参拝の手引き

年中行事
  • 源平関連の史跡めぐりと合わせて参拝する人が多い。
参拝の実際
  • 屋島は観光地でもあり、参拝と史跡めぐりを兼ねる巡礼者が多い。
  • 駐車場あり。宿坊なし。
  • 電話:087-841-9418
周辺・遍路道
  • 前の第83番一宮寺から約5km。次の第85番八栗寺(五剣山)へ約4km。
  • 第83番一宮寺から約5キロ、第85番八栗寺(五剣山)へ約4キロ。
  • 高松西ICから国道11号線南バイパス・国道11号線を東へ。マクドナルドのある交差点を左折し、ドライブウェイのゲートへ。
  • 屋島は新屋島大橋・屋島ケーブルなど、観光アクセスも充実している。
  • OUV特記:高松市屋島東町。屋島(史跡既指定)。屋島合戦。
アクセス
  • 〒761-0111 香川県高松市屋島東町1808
公式・関連リンク
  • 四国八十八ヶ所霊場会ページ
  • 霊場会
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

第84番 南面山 千光院 屋島寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
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