第24番 室戸山 明星院 最御崎寺

最御崎寺
本尊虚空蔵菩薩
のうぼう あきゃしゃ きゃらばや おん ありきや まりぼり そわか
御詠歌明星の出でぬる方の東寺 くらき迷いはなどかあらまし
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第24番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では24番目です。

縁起と歴史
寺伝によれば、延暦11年(792年)、19歳の弘法大師空海は室戸岬付近の御厨人窟に籠もって虚空蔵求聞持法を修し、明け方に虚空蔵菩薩の化身とされる明星(金星)が口に飛び込む神秘体験を得たという。24歳の著『三教指帰』には「土州室戸崎に勤念す」と記される。大同2年(807年)、唐から帰朝した翌年、弘法大師空海は勅命を受けてふたたび室戸岬を訪れ、本尊の虚空蔵菩薩を一刀三礼して刻み開創したと伝わる。山号「室戸山」と寺号「最御崎寺」は室戸岬の最先端の地に由来し、院号「明星院」はこの明星感得の伝承にちなむとされる。第26番金剛頂寺を「西寺」と呼ぶのに対し、当寺は「東寺」と通称される。土佐国で最初の札所であり、嵯峨天皇をはじめ歴代天皇の崇敬篤い勅願寺として栄えた。
弘法大師との関わり
当寺は、弘法大師空海の修行と開創の伝承が一体をなす札所である。延暦11年(792年)、19歳の空海は室戸岬付近の海蝕洞・御厨人窟に籠もり、虚空蔵求聞持法(百万遍の真言を唱える行)を修したと伝わる。行が成就する明け方、虚空蔵菩薩の化身である明星(金星)が口中に飛び込み、悟りを得たという。大同2年(807年)、入唐求法を終えた空海は勅命を受けて再びこの地を訪れ、本尊虚空蔵菩薩を一刀三礼して刻み開創したとされる。境内には空海ゆかりの「七不思議」(鐘石・喰わずいも・明星石・捻岩・行水の池・目洗いの池・一夜建立の岩屋)が伝わる。
- 延暦11年(792年):19歳の空海が御厨人窟で虚空蔵求聞持法を修し明星を感得したと伝わる(『三教指帰』に「土州室戸崎に勤念す」と記述)
- 大同2年(807年):唐から帰朝した翌年、空海が勅命を受けて室戸岬を再訪し、虚空蔵菩薩を刻んで開創したと伝わる
- 平安時代:嵯峨天皇をはじめ歴代天皇の信仰が篤く勅願寺として栄えたと伝わる
- 暦応4年・1341年: 足利尊氏により土佐の安国寺とされたと伝わる
- 年代不明(その後): 火災で焼失
- 元和年間・1615〜1624年: 土佐藩主・山内忠義の援助で僧・最勝が再興し七堂伽藍を整備
- 明治初期: 神仏分離令(廃仏毀釈)により荒廃
- 明治5年・1872年: 女人禁制を解禁
- 大正3年・1914年: 再建
- 昭和54年・1979年: 多宝塔を再建
- 昭和59年・1984年: 鐘楼堂を再建
- 昭和60年・1985年: 大師堂を再建
見どころ・伽藍
- 七不思議鐘石・喰わずいも・捻岩・明星石ほか空海ゆかりの霊跡
- 明星感得青年期の空海が御厨人窟で求聞持法を修し明星を得た伝承
- 東寺土佐最初の札所。西寺(金剛頂寺)と対をなす室戸岬の突端
- 御厨人窟番外霊場の海蝕洞。洞内の波音は日本の音風景100選
- 秘仏本尊弘法大師作と伝わる虚空蔵菩薩坐像
- 国重要文化財宝物館に如意輪観音半跏像ほか平安期の仏像
- 本堂や大師堂、多宝塔、鐘楼堂のほか、護摩堂、求聞持堂、聖天堂、一畑薬師堂などが並ぶ。
- 鐘石は、石で叩くと鐘のような澄んだ音が響くことで知られる。
- 宿坊は遍路センターを兼ね、巡礼者の宿泊を受け入れている。
- 奥の院は一夜建立の岩屋とされる。
- 近くの御厨人窟は、若き空海が虚空蔵求聞持法を修したと伝わる洞窟で、室戸岬とともに国の史跡および名勝に指定されている。
- 室戸岬の突端に建ち、太平洋を一望する高台に境内が開ける。
- 国指定重要文化財: 木造薬師如来坐像(平安時代後期、漆箔、像高86.3cm、1911年8月9日指定)
- 国指定重要文化財: 木造月光菩薩立像(平安時代後期、漆箔、像高101.6cm、木眼、1911年8月9日指定)
- 国指定重要文化財: 石造如意輪観音半跏像(平安時代後期、大理石造、像高53.2cm・総高82.4cm、1913年8月20日指定)
- 国指定重要文化財: 漆塗三脚盤2基(南北朝時代、康暦元年・1379年の寄進銘、1989年6月12日指定)
- 高知県保護有形文化財: 虚空蔵菩薩坐像懸仏(直径107.2cm、厚さ2.2cm、1999年4月27日指定)
- 室戸市指定文化財: 石像金剛力士立像(江戸時代、山内忠義建立)
- 室戸市指定文化財: 木造金剛力士立像残片(鎌倉時代、伝・湛慶作)
- 室戸市指定文化財: 四天王立像(平安時代)
- 寺宝: 飛天像石扉、木造地蔵菩薩立像、木造仏頭、磬台・磬、柄香炉ほか(霊宝殿に収蔵)
信仰と物語
- 本尊の虚空蔵菩薩は、大同2年(807年)に弘法大師が刻んで開創したと寺伝で伝わる(勅願主は資料により平城天皇・嵯峨天皇と記載が分かれる)。
- 虚空蔵菩薩の化身とされる明星が空海の口に飛び込んだという室戸の伝承が、この寺の信仰の核とされる。
- 室戸岬の東側に建つことから「東寺」と呼ばれ、西側の金剛頂寺の「西寺」と対をなす。
- 若き空海は近くの御厨人窟にこもって虚空蔵求聞持法を修し、満願の折に明星が口に飛び込んで悟りを得たと伝わる。
- 御厨人窟から見えるのは空と海のみであったことが、「空海」の名の由来になったとも伝わる。
- 鐘石は石で叩くと鐘のような音が響き、その音は冥土まで届くといわれる。
- 御詠歌「明星の出でぬる方の東寺 くらき迷いはなどかあらまし」が伝わる(終止形は資料により「あらまじ」とも)。
- 空海の著作『三教指帰』には室戸での修行に触れ、「明星来影す」と記されると伝わる。
- 寺伝では弘法大師が勅命を受けて開創したと伝わる(勅願主は資料により平城天皇・嵯峨天皇と記載が分かれる)。
- のちに足利尊氏が土佐の安国寺に定めるなど武家の帰依を受け、江戸時代には土佐藩主山内氏の保護を受けたと伝わる。
参拝の手引き
- 初祭り(1月13日)
- 灯台まつり(毎年11月第1週。室戸岬灯台・気象観測所の公開に合わせ、霊宝殿の国指定重要文化財も土日いずれかに特別公開される)
- 鐘石を石で叩いて音を聞く参拝が親しまれている。
- 宿坊(遍路センター)があり、駐車場も備える。
- 室戸岬の突端にあり、海と空が大きく開ける景観の中で参拝できる。
- 前の第23番薬王寺からは約75キロと長く、室戸岬をめぐって次の第25番津照寺へは約6.5キロとされる。
- 近隣には御厨人窟や室戸岬、室戸スカイラインなどの名所がある。
- 土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の奈半利駅や高知東部交通のバスが利用できる。
- 室戸岬の山頂に位置する。鉄道は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「奈半利駅」が最寄り(約27km)で、阿佐海岸鉄道「甲浦駅」からは約41km。奈半利駅から高知東部交通バスで「室戸岬」下車、徒歩約20分(バス停から約0.9km)。車は高知自動車道・南国ICから国道32号・55号を経て室戸スカイラインへ入り約9km(南国ICから約81km)、最御崎寺駐車場まで約0.1km。
- 駐車場:あり。最御崎寺駐車場が普通車37台(無料)。マイクロバス9台(300円)。利用時間7:00〜17:00。別に遍路センター前にも駐車場あり(有料・大型可、台数に諸説あり)。
- 宿坊:あり。「室戸岬最御崎寺遍路センター」(へんろセンター)を併設。収容約100名(資料により定員120名との記載もあり)。和室12室・洋室13室、各室トイレ付・大浴場あり。チェックイン15:00/チェックアウト10:00。TEL 0887-23-0024。
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出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。