第30番 百々山 東明院 善楽寺

善楽寺
本尊阿弥陀如来
おん あみりた ていぜい からうん
御詠歌人多くたち集まれる一ノ宮 昔も今も栄えぬるかな
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第30番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では30番目です。

縁起と歴史
寺伝によれば、大同年間(806〜810年)、弘法大師空海が土佐国一宮・高鴨大明神(現在の土佐神社)を訪れ、その別当寺として神宮寺とともに善楽寺を開創し、霊場と定めたと伝わる。本尊の阿弥陀如来も空海の作と伝える。山号「百々山」は、空海が国中の谷を数えたところ九十九谷しかなく、足りない一谷を当寺の開創で補って百谷としたことに由来するという。長く土佐神社の別当寺として栄え、江戸期には一時「長福寺」と号したが、九代将軍徳川家重の幼名(長福丸)を憚って善楽寺に改めたと伝わる。明治初年の神仏分離・廃仏毀釈により廃寺となり、本尊の阿弥陀如来は二十九番国分寺に預けられて、国分寺が納経を代行した。のちに本尊は南西約5.5kmに再興された安楽寺へ移された。昭和初期、埼玉県から東明院を移してこの地に再興され、寺号と霊場がよみがえった。院号「東明院」は、この再興のときに移された院号に由来する。
弘法大師との関わり
寺伝では、大同年間に弘法大師空海が土佐国一宮の別当寺として開創し、本尊の阿弥陀如来も空海の作と伝える。山号「百々山」は、空海が国中の谷を数えたところ九十九谷しかなく、当寺の開創で一谷を補って百谷とした伝承に由来するという。境内の子安地蔵は弘法大師の作と伝わり、大師が難産の妊婦のために祈祷して安産を成就させたという伝説をもつ。安産・子宝祈願の信仰を集める。大師堂は大正期の建立で、「厄除け大師」として知られる。
- 大同年間(806〜810年)/大同5年(810年): 弘法大師空海が土佐国一宮・高鴨大明神(土佐神社)の別当寺として善楽寺を開創(寺伝)
- 応仁年間(1467〜1469年頃): 兵火により焼失と伝わる(年代・詳細は伝承)
- 1658年(万治元年): 長福寺に改名と伝わる
- 1721年(享保6年)頃: 九代将軍徳川家重の幼名「長福丸」を憚り、長福寺から善楽寺に改名と伝わる
- 明治初年(明治元年〜): 神仏分離・廃仏毀釈により廃寺。本尊阿弥陀如来は29番国分寺に預けられ納経を代行
- 1875年(明治8年)※明治9年とする資料もあり: 南西約5.5kmに再興された安楽寺へ本尊阿弥陀如来像が移され、安楽寺が30番札所となる
- 1929年(昭和4年)※1930年(昭和5年)とする資料もあり: 埼玉県から東明院を当地へ移転し、江戸期作の阿弥陀如来坐像を本尊に迎えて再興。30番札所が善楽寺・安楽寺の2か所並立となる
- 1964年(昭和39年): 四国開創1150年を機に両寺代表が協議し、善楽寺を「開創霊場」、安楽寺を「本尊奉安霊場」と称することで一旦合意するも混乱は続く
- 1983年(昭和58年): 本堂を改築
- 1994年(平成6年)1月1日: 札所を善楽寺、安楽寺を奥の院とすることで最終決着。本尊(旧本尊・重文)は安楽寺に安置のまま、安楽寺住職が両寺を兼務する形に
- 2005年(平成17年): 地蔵堂を改築
- 2016年(平成28年): 女性住職が就任(当時32歳)と報じられる
見どころ・伽藍
- 遍路迷わせの札所善楽寺と安楽寺の30番問題。平成6年に札所・奥の院で決着。
- 梅見地蔵首から上の病や悩みに利益があるとされる1816年建立の地蔵。
- 子安地蔵大師作と伝わる地蔵。安産・子宝祈願で知られる。
- 白岩不動飛び地境内の幽谷。11月28日に護摩法要が営まれる。
- 土佐一ノ宮土佐神社の別当寺。東隣に位置し、神仏習合の歴史を残す。
- 女性住職高知県内の札所では唯一とされる女性住職の寺。
- 昭和58年(1983年)改築の本堂を中心に、大正期建立の大師堂(厄除け大師として知られる)、子安地蔵堂、薬師堂が並ぶ。
- 文化13年(1816年)建立の梅見地蔵は、首から上(脳の病・ノイローゼ・目・鼻・耳など)の病や悩みに御利益があるとされる珍しい地蔵で、向かいに梅が植えられているのが名の由来。
- 弘法大師作と伝わる子安地蔵を祀る子安地蔵堂がある。大師が難産の妊婦を祈祷で救った伝説にちなみ、安産・子宝祈願の信仰を集める。
- 高さ約8メートルの十一面観音像や、天邪鬼が支える手水舎など、個性的な石像・小坊主像が境内に点在する。
- 烏枢沙摩明王を手洗い・トイレに祀る。
- 平成17年(2005年)に地蔵堂を改築した。
- 奥の院は、南西約5.5キロメートルの高知市洞ヶ島町5-3にある安楽寺。平成6年(1994年)に善楽寺を札所、安楽寺を奥の院とすることで30番札所問題が決着した。現在は安楽寺住職が両寺を兼務する。
- 廃寺と本尊の移座により、再興後は善楽寺と安楽寺が長く同じ30番を名乗り、巡礼者を混乱させた。かつて「遍路迷わせの札所」と呼ばれた。
- 国指定重要文化財の木造阿弥陀如来坐像(13世紀作、像高68.5センチ)は安楽寺に安置される。善楽寺本堂の現本尊は、江戸期作の別の像とされる。
- 飛び地境内の白岩不動は、昼でも暗い幽谷にある聖地で、11月28日午前10時に護摩法要が営まれる。
- 木造阿弥陀如来坐像(国指定重要文化財/明治44年(1911年)4月17日指定)。ヒノキの寄木造・玉眼嵌入・漆箔で、像高68.5cm、13世紀(鎌倉時代)の作。中品中生の説法印を結ぶ。もと善楽寺の本尊で、現在は奥の院・安楽寺に安置される(善楽寺本堂の現本尊である江戸期作の阿弥陀如来坐像とは別の像)
信仰と物語
- 本尊の阿弥陀如来は弘法大師の作と伝わる。長く土佐国一宮・土佐神社の別当寺として栄えた阿弥陀の霊場とされる。
- 子安地蔵は弘法大師の作と伝わる。大師が難産の妊婦のために祈祷して安産を成就させたという伝説をもち、安産・子宝祈願の信仰を集める。
- 梅見地蔵は、首から上(脳の病・ノイローゼ・目・鼻・耳など)の病や悩みに御利益があるとされる珍しい地蔵とされる。
- 大師堂は大正期の建立で、「厄除け大師」として知られる。
- かつて「遍路迷わせの札所」と呼ばれた。廃寺と本尊の移座により善楽寺と安楽寺が長く同じ30番を名乗り、巡礼者を混乱させたが、平成6年(1994年)に決着した。
- 1964年(昭和39年)には、四国開創1150年を機に両寺代表が協議し、善楽寺を「開創霊場」、安楽寺を「本尊奉安霊場」と称することで一旦合意したが、混乱は続いた。
- 山号「百々山」は、空海が国中の谷を数えたところ九十九谷しかなく、当寺の開創で一谷を補って百谷とした伝承に由来するとされる。
- 九代将軍徳川家重の幼名(長福丸)を憚って、一時「長福寺」と号したが、のちに善楽寺に改めたと伝わる。
- 御詠歌「人多くたち集まれる一ノ宮 昔も今も栄えぬるかな」が伝わる。
- 大同年間(806〜810年)、弘法大師空海が土佐国一宮・高鴨大明神(土佐神社)の別当寺として善楽寺を開創したと伝わる。
- 昭和4年(1929年)、埼玉県から東明院を当地へ移転し、江戸期作の阿弥陀如来坐像を本尊に迎えて再興した。
- 2016年(平成28年)に女性住職が就任し、高知県内の札所では唯一とされる。
参拝の手引き
- 初祭り(2月1日)
- 大般若転読大法会(2月1日午後2時、本堂・入堂無料)
- 節分会(2月3日)
- 花まつり(4月8日・釈尊降誕会)
- 薬師堂法要(3月8日)
- 白岩不動護摩法要(11月28日午前10時、飛び地境内の白岩不動)
- 納経時間は8時から17時(令和6年より。以前は7時から17時)。
- JR土讃線「土佐一宮駅」から約1.5キロ(徒歩約20分)。とさでん交通バス「一宮東門」下車で約0.2キロ。
- 駐車場は普通車20台・大型4台で無料。宿坊はない。
- 本尊(国重文の阿弥陀如来坐像)の拝観は、奥の院・安楽寺(高知市洞ヶ島町5-3)で行う。安楽寺住職が両寺を兼務する。
- 前の第29番国分寺からは約6.9キロ、次の第31番竹林寺へは約6.6キロ。
- 土佐国一宮・土佐神社の東隣に位置する。もとはその別当寺で、神仏習合の歴史を色濃く残す。
- 高知自動車道「高知IC」から車で約10分。高知市街に近い立地である。
- JR土讃線 土佐一宮駅から約1.5km(徒歩約20分)
- とさでん交通バス『一宮東門』下車 約0.2km
- 高知自動車道 高知ICから車で約10分
- 土佐神社(土佐国一宮)の東隣に位置
- 駐車場:普通車20台・大型4台、無料
- 納経時間:8:00〜17:00(令和6年より。以前は7:00〜17:00)
- 宿坊:なし
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。


