第32番 八葉山 求聞持院 禅師峰寺

禅師峰寺
本尊十一面観世音菩薩
おん まか きゃろにきゃ そわか
御詠歌静かなるわがみなもとの禅師峰寺 浮かぶ心は法の早船
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第32番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では32番目です。

縁起と歴史
八葉山 求聞持院 禅師峰寺は、標高82メートルほどの峰山の頂上に建ち、地元では「みねんじ」「みねでら」「みねじ」と親しまれる。太平洋のうねりが轟く土佐湾に近く、海上交通の安全を祈願して建てられたと伝わることから、海の男たちは「船魂の観音」とも呼ぶ。漁師に限らず、藩政時代には参勤交代で浦戸湾から出航する歴代藩主も航海の無事を祈ったと伝わる。縁起では、行基菩薩が聖武天皇(在位724〜749年)の勅命を受け、土佐沖を行く船の安全を願って堂宇を建てたのが起源とされる。のち大同1年(806年)、奇岩霊石が立ち並ぶ境内を訪れた弘法大師は、観音の浄土・補陀落山さながらの霊域と感得し、虚空蔵求聞持法の護摩を修した。自ら十一面観世音菩薩像を彫造して本尊とし「禅師峰寺」と名付け、峰山の山容が八葉の蓮台に似ることから「八葉山」と号したと伝わる。以来、土佐初代藩主・山内一豊公をはじめ歴代藩主の帰依を受け、一般の漁民の篤い信仰を集めてきた。
弘法大師との関わり
大同1年(806年)、奇岩霊石が立ち並ぶ境内を訪れた弘法大師は、補陀落山さながらの霊域と感得し、虚空蔵求聞持法の護摩を修したと伝わる。自ら十一面観世音菩薩像を彫造して本尊とし、「禅師峰寺」「八葉山」の名を付けたとされる。
- 行基開創伝:聖武天皇勅命で土佐沖の船舶安全を祈願して堂宇建立(伝承)
- 大同1年(806年):弘法大師が求聞持法を修し、十一面観音像を彫造、寺号・山号を定めたと伝わる
- 鎌倉後期・徳治3年(1308年):梵鐘鋳造(県指定文化財)
- 室町・永禄13年(1570年):鰐口制作(県指定文化財)
- 近世:山内藩主の帰依を受け、船魂観音としての信仰が定着
- 幕末:土佐勤王党・武市半平太(瑞山)ゆかり
見どころ・伽藍
- 船魂の観音土佐湾の航海安全・漁業安全の信仰の中心
- 仁王門金剛力士像鎌倉時代の仏師・定明作、国指定重要文化財
- 奇岩霊石本堂前の奇怪な岩石群。芭蕉句碑「木がらしに岩吹き尖る杉間かな」
- 寺宝徳治3年(1308)の梵鐘、永禄13年(1570)の鰐口(いずれも県指定)
- 武市半平太ゆかり寺を下った場所に旧宅と墓
- 仁王門の金剛力士像は鎌倉時代の仏師・定明の作で、国指定重要文化財。堂宇はこぢんまりと肩を寄せ合うように建ち、境内は樹木に覆われ奇岩が多く、幽寂な雰囲気が漂う。
- 本堂前の奇岩の間に、芭蕉の句碑「木がらしに岩吹き尖る杉間かな」がある。
- 梵鐘(1308年)と鰐口(1570年)が県指定文化財として伝わる。
- 峰山の頂上から土佐湾・浦戸湾方面の眺望が開ける。
- 本堂・仁王門・大師堂・鐘楼が、奇岩に囲まれた境内に配される。
- 高知市教育委員会『土佐へんろ道 竹林寺道・禅師峰寺道』(2014)が、第31〜32番間の遍路道調査として刊行されている。
- 寺を下った場所に、武市半平太(瑞山)の旧宅と墓がある。土佐勤王党を組織したゆかりの地。
- 奥の院・別院の有無や参拝ルールは、季節・工事で変わる場合がある。現地の案内板を確認すること。
- 木造金剛力士立像(仁王門):国指定重要文化財。鎌倉時代、仏師定明作
- 梵鐘:鎌倉後期・徳治3年(1308年)、高知県指定文化財
- 鰐口:室町時代・永禄13年(1570年)、高知県指定文化財
- 所在地(OUV表):南国市十市
信仰と物語
- 本尊の十一面観音は「船魂の観音」として、航海・漁業の安全祈願を集める。
- 御詠歌は、心の源としての静けさと、仏法の早船に浮かぶ心を詠じる。
- 求聞持院の院号は、大師の虚空蔵求聞持法の修行に由来する。
- 峰山の山容が八葉の蓮台に似るため「八葉山」と号したという。
- 藩主が参勤交代の出航前に祈願する所としての信仰が続く。
- 縁起の逸話は寺伝・地域伝承として広く語られるが、史実性に学術的検討が必要なものも含む。
- 御詠歌「静かなるわがみなもとの禅師峰寺 浮かぶ心は法の早船」
- 松尾芭蕉の句碑「木がらしに岩吹き尖る杉間かな」(本堂前の奇岩の間)
- 御詠歌の結句は、極楽・利益・守護など本尊信仰の要点を詠じ、参拝の心構えとして唱和される。
- 行基菩薩:開基と伝わる。
- 弘法大師:大同1年の像彫造・求聞持法修行。
- 山内一豊以降の土佐藩主:帰依・航海祈願。
- 武市半平太(瑞山):旧宅・墓が近接。
参拝の手引き
- 6月17日14時〜:大般若会
- 駐車場:普通30台・マイクロバス10台・大型5台(無料)
- 宿坊:なし
- 山道の登りのため歩行に注意
- 高知ICから五台山・桂浜方面へ進み、大平山トンネルを抜け、高知新港交差点を左折。案内板に従い山道を登る。
- 前の第31番竹林寺から約8km。高知市教育委員会『土佐へんろ道 竹林寺道・禅師峰寺道』(2014)が遍路道調査として刊行されている。
- OUV所在地:南国市十市
- 〒783-0085 高知県南国市十市3084
- 088-865-8430
- 普通30台・マイクロバス10台・大型5台(無料)
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。


