四国八十八ヶ所 ・ 高知県(土佐・修行の道場)
第33番 高福山 幸福院 雪蹊寺
運慶・湛慶作の仏像群を収める臨済宗の寺。長宗我部家の菩提寺であり、南学発祥の地でもある 御本尊は薬師如来です。 高知県・土佐の第33番札所です。

雪蹊寺
本尊薬師如来
おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
御詠歌旅の道うえしも今は高福寺 のちのたのしみ有明の月
高知県・土佐修行の道場臨済宗妙心寺派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第33番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では33番目です。

所在地〒781-0270 高知県高知市長浜857-3
前後の札所前の第32番禅師峰寺から約6.0km。次の第34番種間寺へ約8.0km。
この寺の成り立ち
縁起と歴史
高福山 幸福院 雪蹊寺は、土佐湾の桂浜に近い長浜にある。四国八十八ヶ所のうち臨済宗妙心寺派の2寺の一つである。弘法大師が弘仁6年(815年)に開創したころは真言宗で「高福寺」と称したと伝わる。後に慶運寺と改めたが廃寺となり、戦国期の土佐領主・長宗我部元親が臨済宗の月峰和尚を開山に招いて中興した。元親の死後、四男の盛親が長宗我部家の菩提寺とし、元親の法号「雪蹊」から「雪蹊寺」と改称した。鎌倉の大仏師・運慶とその長男の湛慶が滞在し、運慶は本尊の薬師と日光・月光菩薩、湛慶は毘沙門天・吉祥天女・善膩師童子を彫造したとされる。これに道運・海覚作の十二神将を合わせた16体が、国指定重要文化財に指定されている。江戸初期の住職・天質和尚は朱子学南学派の祖として活躍し、寺は「南学発祥の道場」と称される。ここから谷時中・野中兼山らの儒学者が出た。17回四国遍路したと伝わる山本玄峰師(太玄・玄峰)の塔が境内にある。
弘法大師との関わり
弘仁6年(815年)に弘法大師が開創したと伝わる。当初は真言宗の高福寺であり、後世に臨済宗で中興される以前からの霊場としての系譜を持つ。御詠歌にある「高福寺」は、この旧寺名を指す。
おもな歴史
- 弘仁6年(815年):弘法大師開創「高福寺」(真言宗、伝承)
- 戦国期:長宗我部元親が月峰和尚を開山に中興、臨済宗へ
- 元親没後:盛親が菩提寺化、雪蹊寺に改称
- 鎌倉期:運慶・湛慶作仏像16体(国重文)
- 江戸初期:天質和尚、南学派開祖
- 明治:廃仏毀釈で廃寺、山本太玄が復興
- 昭和:太玄・玄峰の活動、終戦期の鈴木首相との逸話(伝承)
お参りの前に
見どころ・伽藍
この札所の見どころ
- 運慶・湛慶作16体国指定重要文化財の仏像群(拝観は要予約)
- 長宗我部家菩提寺信親の墓、元親・盛親ゆかり
- 南学発祥天質和尚、朱子学南学派
- 太玄塔・玄峰塔昭和の傑僧、山本太玄・玄峰
- 桂浜・坂本龍馬像門前の観光地
伽藍・主要堂宇
- 仏像16体は運慶・湛慶・道運・海覚の作で、国の重要文化財。拝観は要予約。
- 太玄塔は山本太玄住職(17代)の供養塔。失明に近い眼病をかかえたまま7回目の遍路を続けていた玄峰が、太玄に救われて師と仰いだという逸話がある。終戦期、鈴木首相が天皇への玉音放送の文言を太玄に相談したとされる。
- 玄峰塔は18代の玄峰和尚の供養塔。
- 信親の墓(元親の長男、豊後で討死)が境内にある。
- 観音堂の天女絵も見どころ。
奥の院・霊跡
- 桂浜は月の名所として知られ、坂本龍馬の銅像が立つ。雪蹊寺の参拝と合わせた観光ルートになる。
- 奥の院・別院の有無や参拝のきまりは、季節や工事で変わる場合がある。現地の案内板を確認すること。
文化財・寺宝
- 木造薬師如来及日光月光菩薩像、毘沙門天三尊、十二神将など16体:国指定重要文化財
- 所在地(OUV表):高知市長浜
伝わるもの
信仰と物語
御本尊と信仰
- 本尊の薬師如来は、旅の疲れを癒すという「高福寺」の御詠歌の世界と結びつく。
- 臨済宗のため、宝号は釈迦牟尼仏と祖師(無相大師・達磨大師)。
- 運慶・湛慶の仏像は美術史的な価値が高く、拝観は予約制。
伝説・説話
- 慶運寺の名は運慶・湛慶にちなむという(伝承)。
- 太玄和尚と玉音放送の文言をめぐる逸話(要文献確認)。
- 縁起の逸話は寺伝や地域の伝承として広く語られるが、なかには史実性に学術的な検討が必要なものも含まれる。
文学・和歌
- 御詠歌「旅の道うえしも今は高福寺 のちのたのしみ有明の月」
- 桂浜は月の名所として歌枕になっている。
- 御詠歌の結句は、極楽・利益・守護など本尊信仰の要点を詠み、参拝の心構えとして唱和される。
ゆかりの人物
- 弘法大師:開基(伝承)。
- 長宗我部元親・盛親・信親:菩提寺ゆかりの一族。
- 運慶・湛慶:仏像の制作。
- 天質和尚:南学派の開祖。
- 山本太玄・玄峰:近世の復興・遍路僧。
訪ねる方へ
参拝の手引き
年中行事
- 2月3日:節分厄除け/般若心経百巻続経
- 旧暦4月8日:花まつり
- 7月第1日曜:盆/ソトバ供養
- 7月第3日曜:安産子安地蔵祭
- 10月第2または第3日曜:施餓鬼
- 12月31日:除夜の鐘/そば接待
参拝の実際
- 仏像拝観:要予約
- 駐車場:普通10・マイクロ5・大型3(6〜18時、志納金)
- 宿坊:あり(夜具なし、17時までに入室)
周辺・遍路道
- 高知ICからはりまや橋方面、県道34号線。瀬戸バイパス「雪蹊寺別れ」からも入れる。
- 土佐電交通、長浜下車。
- OUV所在地:高知市長浜
アクセス
- 〒781-0270 高知県高知市長浜857-3
- 088-837-2233
- 普通10・マイクロ5・大型3(6〜18時・志納金)
- あり(夜具なし)17:00までに入れのこと
公式・関連リンク
この記事の拠りどころ
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。
kochi bunkazaiの公開ページ(kochi-bunkazai.jp)
Wikipedia「雪踏寺」(日本語版)
第33番 高福山 幸福院 雪蹊寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)


