第37番 藤井山 五智院 岩本寺

岩本寺
本尊不動明王・観世音菩薩・阿弥陀如来・薬師如来・地蔵菩薩
不動明王=なうまく さんまんだばざらだん せんだまかろしゃだ そはたや うん たらた かんまん/観世音菩薩=おん あろりきゃ そわか/阿弥陀如来=おん あみりたていぜい から うん/薬師如来=おん ころころ せんだり まとうぎ そわか/地蔵菩薩=おん かかか びさんまえい そわか
御詠歌六つのちり五つの社あらわして ふかき仁井田の神のたのしみ
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第37番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では37番目です。

縁起と歴史
岩本寺は、清流四万十川が流れる標高約300メートルの高南台地、四万十町に建ち、五尊の本尊を祀る。寺伝では、聖武天皇の勅を奉じた行基菩薩が現在地より北西約3キロメートルの仁井田明神の傍に建立した福圓満寺(末寺7ヶ寺)が前身とされる。仁井田明神の別当職(別当寺)であったことから、仁井田寺とも呼ばれた。弘法大師は、一社に祀られていた仁井田明神の神体を五つの社に分け、各社に不動明王・観音・阿弥陀・薬師・地蔵を本地仏として安置した。七ヶ寺と合わせて十二福寺、明神は仁井田五社と呼ばれた。天正期の兵火で寺社はともに衰退し、再建の際に全神社を管掌していた岩本寺(岩本坊)へ法灯と別当職が遷されて継承された。戦国・江戸期には武将や藩主から寺領の寄進を受け、神仏習合の札所として栄えた。明治の神仏分離で仁井田五社と分かれ、五尊の本地仏と札所は岩本寺に統一された。廃仏毀釈の法難で寺領の大半を失い、再建の苦難を経て現在に至る。
弘法大師との関わり
弘法大師は、仁井田明神の神体を五つの社に分け、不動・観音・阿弥陀・薬師・地蔵を本地仏として安置したと寺伝に記される。御詠歌の「五つの社」は、この五社五尊の構造を詠じる。
- 行基開創伝:福圓満寺・仁井田明神別当(伝承)
- 弘法大師:仁井田明神を五社五尊に分祀(伝承)
- 天正期:兵火で寺社衰退
- 近世:岩本坊への法灯・別当職移管、再建
- 明治:神仏分離、五社分離、岩本寺に札所統一
- 昭和53年(1978年):本堂新築、格天井画575枚公募
- 現代:宿坊あり、四国88で第36〜38番間が最長の札所間距離
見どころ・伽藍
- 五尊仏四国88で唯一級の多本尊制
- 仁井田五社神仏習合から明治分離の歴史
- 格天井画575枚昭和53年新本堂、全国公募
- 大師堂境内最古、約200年前の建造
- 第36番〜第38番約80km超、札所間最長区間
- 大師堂は約200年前の建造で、境内最古。
- 本堂内陣の格天井画は、昭和53年の新築の際に全国公募され、花鳥風月から人間曼荼羅まで575枚が天井を彩る。
- 五尊の本地仏はかつて仁井田五社に分祀され、現在は岩本寺本堂に統合されている。
- 仁井田明神・五社の旧跡は、北西約3キロメートル付近に伝わる。
- 四万十川流域の神仏習合霊場として、周辺に神社仏閣が点在する。
- 奥の院・別院の有無と参拝ルールは、季節や工事で変わる場合がある。現地の案内板を確認すること。
- 本堂格天井画:575枚(花鳥風月〜人間曼荼羅)
- 所在地(OUV表):四万十町茂串町
信仰と物語
- 五尊仏は、六根の塵と五社の神を一つに顕す御詠歌の世界観を持つ。
- 神仏習合からの統合札所として、地域の総社的な性格を残す。
- 第38番金剛福寺までの長距離遍路区間の中継点として機能する。
- 大師が一社の明神を五社五尊に分祀したという寺伝。
- 岩本坊への法灯移管と再建の苦難。
- 縁起の逸話は寺伝・地域伝承として広く語られるが、史実性には学術的検討が必要なものを含む。
- 御詠歌「六つのちり五つの社あらわして ふかき仁井田の神のたのしみ」
- 御詠歌の結句は極楽・利益・守護など本尊信仰の要点を詠じ、参拝の心構えとして唱和される。
- 境内に句碑・歌碑があれば、巡礼文学・地域文化の層として参照できる(要現地確認)。
- 行基菩薩:開基(寺伝)。
- 弘法大師:五社五尊分祀。
- 戦国・江戸期の武将・藩主:寺領寄進(伝承)。
参拝の手引き
- 1月2日:新春特別祈祷
- 2月3日:節分会(星供養会)
- 3月20〜21日:弘法大師祭
- 4月8日:花まつり(仏生会)
- 6月初旬・11月初旬:四国遍路関連法要
- 8月13〜16日:盂蘭盆
- 12月18日:聖天祭
- 12月31日:除夜祭
- 駐車場:普通20台・大型4台
- 宿坊:あり(要予約)
- 公式サイト:https://iwamotoji.or.jp/
- 36番から国道56号線を四万十方面へ、窪川トンネル、古市町交差点を経由する。
- 次の38番金剛福寺まで80km超。車・バスの利用が一般的。
- OUV所在地:四万十町茂串町
- 〒786-0004 高知県高岡郡四万十町茂串町3-13
- 088-022-0376
- 普通20台・大型4台
- あり(要予約)
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。


