四国八十八ヶ所 ・ 高知県(土佐・修行の道場)
第34番 本尾山 朱雀院 種間寺
五穀の種にちなむ薬師信仰。土佐湾の航海安全を祈った海岸の札所 御本尊は薬師如来です。 高知県・土佐の第34番札所です。

種間寺
本尊薬師如来
おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
御詠歌世の中にまける五穀のたねまでら 深き如来の大悲なりけり
高知県・土佐修行の道場真言宗豊山派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第34番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では34番目です。

所在地〒781-0321 高知県高知市春野町秋山72
前後の札所前の第33番雪蹊寺から約8.0km。次の第35番清瀧寺へ約15.0km。
この寺の成り立ち
縁起と歴史
本尾山 朱雀院 種間寺は土佐湾沿岸の霊場の一つで、航海と結び付いた縁起が伝わる。6世紀、敏達天皇6年(577年)に百済の皇子から仏師と造寺工を贈るという勅書が届いた。彼らは用明天皇(在位585〜587年)の時代に大阪・四天王寺の造営に携わり、その帰途、土佐沖の暴風雨を避けて本尾山近くの秋山港に寄港した。海上の安全を祈って約145センチメートルの薬師如来坐像を彫り、本尾山の頂に祀ったという。200余年後の弘仁年間(810〜824年)、弘法大師が訪ね、その像を本尊として諸堂を建て開創した。唐から持ち帰った五穀の種(米・麦・あわ・きび・豆またはひえ)を境内に蒔き、「種間寺」と名付けたと伝わる。天暦年間(947〜957年)には村上天皇(在位946〜967年)が「種間」の勅額を下賜した。土佐藩主・山内家からは広大な寄進を受けた。本尊は国指定重要文化財で、「安産の薬師さん」として底抜け柄杓の安産祈祷が知られる。
弘法大師との関わり
弘仁年間(810〜824年)に弘法大師が訪ね、先代の薬師像を本尊として諸堂を建て開創した。唐から持ち帰った五穀の種を境内に蒔いたことから、「種間寺」と名付けたと伝わる。
おもな歴史
- 577年頃:百済渡来の仏師・造寺工が暴風雨の難ののち、薬師像を彫造(伝承)
- 弘仁年間(810〜824年):弘法大師が諸堂を建立、五穀の種から寺名(伝承)
- 天暦年間(947〜957年):村上天皇が「種間」の勅額(伝承)
- 延宝5年(1677年):手水鉢を建立(町指定文化財)
- 近世:山内藩主の寄進・堂舎の修築
- 明治以降:廃仏毀釈の難を経て存続
お参りの前に
見どころ・伽藍
この札所の見どころ
- 本尊薬師坐像国指定重要文化財、像高約145cm、肉付きのよい威厳
- 底抜け柄杓二夜三日の安産祈祷、お札を添えて授与
- 手水鉢延宝5年(1677年)、町指定・町内最古
- 五穀の種寺名・御詠歌の由来
- 土佐湾の海岸に立つ遍路霊場
伽藍・主要堂宇
- 本尊は肉付きのよい、どっしりとした薬師如来坐像で、国指定重要文化財。安産信仰の中心となっている。
- 底抜け柄杓は、寺で柄杓の底を抜いて二夜三日の安産祈祷を行い、お札を添えて妊婦に授ける。無事に安産したのち、柄杓を寺へ納める。
- 手水鉢は延宝5年(1677年)の建立で、町内最古、町指定文化財。
- 本尾山頂付近の境内から土佐湾を望める。
奥の院・霊跡
- 秋山港への寄港と暴風雨の難を伝える伝承地は、本尾山の近くの海岸。
- 奥の院・別院の有無や参拝のきまりは、季節や工事で変わる場合がある。現地の案内板を確認すること。
文化財・寺宝
- 木造薬師如来坐像:国指定重要文化財
- 手水鉢:高知市春野町指定文化財(延宝5年)
- 所在地(OUV表):高知市春野町
伝わるもの
信仰と物語
御本尊と信仰
- 本尊薬師如来は、五穀の実りと大悲を御詠歌に詠み、農耕や航海の安全と結び付く。
- 「安産の薬師さん」として、底抜け柄杓の信仰が続く。
- 正月三が日と3月8日の御開帳が、年中行事の柱となっている。
伝説・説話
- 四天王寺の造営に携わった仏師が、土佐沖で難に遭ったのち、薬師像を彫って感謝の祈りをささげたという伝承。
- 大師が五穀の種を蒔いたという、寺名の由来。
- 縁起の逸話は寺伝や地域の伝承として広く語られるが、なかには史実性に学術的な検討を要するものも含まれる。
文学・和歌
- 御詠歌「世の中にまける五穀のたねまでら 深き如来の大悲なりけり」
- 御詠歌の結句は、極楽・利益・守護など本尊信仰の要点を詠み、参拝の心構えとして唱和される。
- 境内に句碑や歌碑があれば、巡礼文学・地域文化の層として参照できる(要現地確認)。
ゆかりの人物
- 百済渡来の仏師・造寺工:薬師像の彫造(伝承)。
- 弘法大師:開創・寺名。
- 村上天皇:勅額(伝承)。
- 山内家:土佐藩主としての寄進。
訪ねる方へ
参拝の手引き
年中行事
- 正月三が日・3月8日:本尊御開帳
参拝の実際
- 駐車場:普通70台・大型5台(無料)
- 宿坊:なし
周辺・遍路道
- 土佐ICから国道56号線を春野町方面へ。土佐電交通の長浜で下車。
- 前の第33番雪蹊寺から約8km。
- OUV所在地:高知市春野町
アクセス
- 〒781-0321 高知県高知市春野町秋山72
- 088-894-2234
- 普通70台・大型5台(無料)
公式・関連リンク
この記事の拠りどころ
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。
kochi bunkazaiの公開ページ(kochi-bunkazai.jp)
Wikipedia「種間寺」(日本語版)
第34番 本尾山 朱雀院 種間寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)


