第31番 五台山 金色院 竹林寺

竹林寺
本尊文殊菩薩
おん あらはしゃ なう
御詠歌南無文殊三世の仏の母ときく 我も子なれば乳こそほしけれ
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第31番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では31番目です。

縁起と歴史
竹林寺は、高知市街を見下ろす標高145メートルの五台山の山上に建つ。中国・山西省の標高3000メートル超の霊山・五台山にちなむ山号を持ち、四国八十八ヶ所で唯一文殊菩薩を本尊とする札所である。寺伝では神亀元年(724年)ごろ、聖武天皇が中国・五台山で文殊菩薩を拝する夢を見て、行基菩薩に命じて五台山に似た霊地を求めさせたところ、行基がこの地を感得し、栴檀の木に文殊菩薩像を彫って本堂を建てたと伝わる。大同年間(806〜810年)には弘法大師空海が滞在し、瑜伽行法を修して荒廃した堂塔を修復し、霊場に定めたとも伝えられる。慶長6年(1601年)以降は土佐藩主・山内家の帰依が厚く、祈願所として寺運は隆盛した。「よさこい節」の舞台である播磨屋橋に近いほか、鎌倉から南北朝期の学僧・夢窓国師(1275〜1351)が山麓に吸江庵を結び、後進を育てた地としても知られる。門前には世界的植物学者・牧野富太郎(1862〜1957)の記念館と高知県立牧野植物園があり、土佐の信仰と文化の中心地ともいわれた。
弘法大師との関わり
大同年間(806〜810年)に弘法大師空海がこの地に滞在し、瑜伽行法を修法したと伝わる。荒廃していた堂塔を修復し、四国八十八ヶ所の霊場として定めたともいう。大師以前から文殊信仰の地であったという寺伝と、大師による霊場再興の伝承が重なり、土佐の学問寺院「南海第一道場」としての性格を後世に残した。
- 神亀元年(724年)ごろ:聖武天皇の霊夢に基づき行基菩薩が開創したと伝わる(伝承)
- 大同年間(806〜810年):弘法大師が瑜伽行法を修し、堂塔を修復して霊場に定めたと伝わる(伝承)
- 文保2年(1318年):夢窓国師が来錫し、山麓に吸江庵を結んだと伝わる
- 慶長6年(1601年):山内一豊が土佐藩主となり、以後歴代藩主の帰依が厚くなる
- 寛永22年(1644年):土佐二代藩主山内忠義の寄進により本堂(文殊堂)を造営
- 明治32年(1899年):台風により三重塔が倒壊
- 昭和55年(1980年):五重塔を復興(高さ31.2メートル、総檜造り)
- 平成16年(2004年):竹林寺庭園が国の名勝に指定
見どころ・伽藍
- 五台山中国山西省の霊山にちなむ山号。高知の五台山は標高145メートル、山全体が高知県立都市公園
- 文殊堂(本堂)国指定重要文化財。寛永22年(1644年)造営の現存最古の建造物
- 名勝庭園夢窓国師作庭と伝わる池泉鑑賞式庭園。高知県三名園の一つ、国指定名勝
- 五重塔昭和55年復興。高さ31.2メートル、総檜造り、鎌倉時代初期様式。高知県内唯一の五重塔
- 宝物館藤原時代から鎌倉時代の国指定重要文化財仏像17躰を常時拝観可能
- 牧野富太郎ゆかり門前に牧野富太郎記念館と県立牧野植物園
- 眺望眼下に高知市街と瓢箪形の浦戸湾が広がる
- 本堂(文殊堂)は文殊菩薩を祀ることからこの名で呼ばれる。寛永22年(1644年)に土佐二代藩主山内忠義の寄進で造営され、当山現存最古の建造物として国の重要文化財に指定されている。室町様式の一層入母屋・五間四方・柿葺で、唐様の軒反りや扇垂木など密教寺院建築の特異な様式を見せる。
- 山門左手の宝物館には、藤原時代から鎌倉時代にかけての国指定重要文化財仏像17躰が収蔵され、常時拝観できる。
- 五重塔は、明治32年(1899年)の台風で倒壊した三重塔の再建を悲願とし、昭和55年(1980年)に高さ31.2メートルの総檜造五重塔として復興した。初層内陣に大日如来を祀り、インド・ブッダガヤより勧請された仏舎利を納める。
- 名勝庭園は、文保2年(1318年)に夢窓国師が作庭したと伝わる池泉鑑賞式の庭で、北庭と西庭(廬山・鄱陽湖を模したと伝わる)からなる。高知県三名園の一つに数えられ、平成16年(2004年)に国名勝指定を受けた。
- 境内から高知市街と浦戸湾を見渡せる。山全体は高知県立都市公園として整備されている。
- 夢窓国師が文保2年(1318年)に五台山西麓に結んだ吸江庵が山麓に伝わる。国師は2年余り後進の育成に努めたとされる。
- 門前には牧野富太郎記念館と高知県立牧野植物園があり、土佐の近代文化と自然史の拠点でもある。
- 高知市教育委員会『土佐へんろ道 竹林寺道・禅師峰寺道』(2014)が第31番・第32番への遍路道調査として刊行されている。
- 本堂(文殊堂):国指定重要文化財。寛永22年(1644年)造営、一層入母屋・五間四方・柿葺
- 木造文殊菩薩及侍者像ほか16体:国指定重要文化財。藤原時代から鎌倉時代の仏像群(宝物館収蔵)
- 竹林寺庭園:国指定名勝。平成16年(2004年)指定。夢窓国師作庭伝
- 史跡・名勝選定候補(世界遺産提案書):史跡○・名勝○。五台山。澄禅日記に複数札所の記述
信仰と物語
- 本尊の文殊菩薩は秘仏で、行基作と伝わる。四国八十八ヶ所で唯一、文殊を巡拝本尊とする札所である。
- 御詠歌は文殊を「三世の仏の母」と詠み、智慧と慈悲の母性信仰を表す。
- 初文殊会式(1月25日)や夏文殊会式(6月24日)など、文殊に関連する法会が年中行事として続く。
- 聖武天皇が中国・五台山で見た霊夢に応じ、行基がこの地を選び文殊像を刻んだという創建伝承がある。
- 夢窓国師が吸江庵で修行し、名勝庭園を造庭したと伝わる。
- 「よさこい節」の歌詞「土佐の高知の播磨屋橋で坊さんかんざし買うを見た」は、この竹林寺の門前に近い播磨屋橋を舞台にしている。
- 御詠歌「南無文殊三世の仏の母ときく 我も子なれば乳こそほしけれ」が伝わる。
- よさこい節の舞台である播磨屋橋と竹林寺は、土佐の近代文化の象徴として結び付けられている。
- 御詠歌の結句は極楽・利益・守護など本尊信仰の要点を詠じ、参拝の心構えとして唱和される。
- 行基菩薩:開基と伝わる。
- 弘法大師空海:大同年間に滞在し瑜伽行法を修したと伝わる。
- 夢窓国師:吸江庵を結び作庭したと伝わる。
- 山内一豊以降の土佐藩主:祈願所として帰依が厚かった。
- 牧野富太郎:門前に記念館と植物園が置かれる。
参拝の手引き
- 1月1〜3日:お福分け
- 1月16日・旧暦1月16日:仁王尊祈願会
- 1月25日:初文殊会式
- 2月3日:節分会
- 2月8日:針供養祭
- 2月15日:涅槃会
- お彼岸の入り日:春彼岸会・秋彼岸会(日時変更あり)
- 旧暦4月8日:花まつり
- 6月24日:夏文殊会式
- 7月上旬〜8月末:お盆供養
- 7月下旬〜8月(4回):一休さん修行
- 中秋の名月頃:五台山観月会
- 11月下旬の土・日:竹林寺秋まつり
- 12月8日:成道会
- 12月31日:除夜の鐘
- 拝観:8:00〜17:00(年中無休)
- 名勝庭園・宝物館:8:30〜17:00(最終入館16:30)
- 駐車場:普通100台・マイクロバス10台・大型5台(無料)
- 宿坊:なし
- 前の第30番善楽寺から約6.6km、次の第32番禅師峰寺へ約8.0km。
- 高知自動車道「高知IC」から高知北環状線・国道32号を経由し、高須新町4丁目交差点から五台山方面へ。標識に従って山道を登る。
- 車:高知ICから高知北環状線を高知市街方面へ、国道32号線に左折、高須新町4丁目交差点で右折後、五台山方面へ標識に従う
- 〒781-8125 高知県高知市五台山3577
- 088-882-3085
- 普通100台・マイクロバス10台・大型5台(無料)
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。


