第36番 独鈷山 伊舎那院 青龍寺

青龍寺
本尊波切不動明王
のうまくさんまんだ ばざらだん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらた かんまん
御詠歌わずかなる泉にすめる青龍は 仏法守護の誓いとぞきく
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第36番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では36番目です。

縁起と歴史
独鈷山 伊舎那院 青龍寺へ参るときは「宇佐の大橋」を渡る。昭和48年(1973年)に橋が開通するまでは、浦ノ内湾の湾口約400メートルを船で渡った。弘法大師も創建の際にこの湾を船で渡ったと伝えられ、その子孫が「竜の渡し」を近年まで代々守り続けたという。大師が唐の青龍寺で恵果和尚から密教を授かり、真言第八祖として帰朝したのは大同元年(806年)である。縁起によれば、大師は恩に報いるため日本に寺院を建立しようと東の空へ独鈷杵を投げ、有縁の勝地が選ばれるよう祈願した。帰朝後この地で巡教の旅をしているとき、その独鈷杵が奥の院の山の老松にあると感得し、嵯峨天皇(在位809〜823年)に奏上した。弘仁6年(815年)に堂宇を建てて石造の不動明王像を安置し、恩師にちなんで「青龍寺」と名づけ、遥か異国から放った「独鈷」を山号とした。明治期まで土佐7大寺の一つに数えられ、末寺4・脇坊6をもつ名刹であった。本尊の波切不動明王像は入唐の際に暴風雨を鎮めるために現れたと伝わり、航海安全・豊漁、また世間の荒波を鎮める信仰を集めている。
弘法大師との関わり
唐の青龍寺での学修と、帰朝後の独鈷杵投げ・その示現が開創の核心である。弘仁6年(815年)に堂宇を建て、恩師恵果和尚にちなむ寺名「青龍寺」を付けたと伝わる。入唐の際に現れた波切不動明王像を本尊とする。
- 大同元年(806年):弘法大師、唐青龍寺で密教を授かり帰朝
- 弘仁6年(815年):大師が独鈷杵の示現地に堂宇を建立、波切不動を安置、寺号・山号を定めたと伝わる
- 明治期まで:土佐7大寺の一つ、末寺4・脇坊6(伝承)
- 昭和48年(1973年):宇佐大橋開通、「竜の渡し」廃止
- 近世以降:横浪半島の自然公園と一体の海岸霊場として存続
見どころ・伽藍
- 波切不動明王入唐の暴風雨を鎮めたとされる石造の本尊。航海・豊漁を守る仏
- 愛染明王坐像本堂に安置、国指定重要文化財。不動明王と一対
- 奥の院境内から南約600メートル、横浪半島の突端。石造不動を祀り、女人禁制の伝承がある
- 宇佐大橋・竜の渡し浦ノ内湾400メートルを渡した渡し船の歴史
- 横浪県立自然公園浦ノ内湾と太平洋の景観
- 本堂には波切不動明王と愛染明王坐像(国重文)が一対に祀られ、あらゆる苦しみを救うと伝わる。
- 奥の院は境内から南約600メートル、横浪半島の突端、太平洋に落ちそうな所にあり、石造の不動明王像を祀る。長年女人禁制であったと伝わる。
- 宇佐大橋が開通する1973年以前は、湾口約400メートルを「竜の渡し」で渡った。
- 境内からは横浪県立自然公園の海岸景観を望める。
- 本堂・大師堂・権現堂・鐘楼が静かな里寺としてたたずむ。
- 宇佐町「竜」の地名は、大師の渡海や青龍の伝承と結び付けて語られる。
- 奥の院:独鈷杵が示現した老松の山。石造の不動明王を祀り、女人禁制の伝承がある。
- わずかな泉に棲む青龍が仏法守護の誓いを立てたという、御詠歌の伝承。
- 奥の院・別院の有無や参拝のきまりは、季節や工事で変わる場合がある。現地の案内板を確認すること。
- 木造愛染明王坐像:国指定重要文化財。本堂に不動明王像と一対で安置
- OUV特記:海岸部(横浪)
- 所在地(OUV表):土佐市宇佐町
信仰と物語
- 本尊の波切不動明王は、航海の荒波を鎮める守護仏として漁村や船乗りの信仰を集める。
- 愛染明王は、衆生の苦しみを救う一対の尊像として本堂に安置される。
- 青龍の伝承は、寺名と御詠歌の中心となるテーマである。
- 独鈷杵を東方に投げ、有縁の地を選んだという大師の祈願。
- 「竜の渡し」を代々守り続けた大師子孫の伝承。
- 縁起の逸話は寺伝や地域の伝承として広く語られるが、史実性には学術的な検討を要するものを含む。
- 御詠歌「わずかなる泉にすめる青龍は 仏法守護の誓いとぞきく」
- 御詠歌の結句は、極楽・利益・守護など本尊信仰の要点を詠み、参拝の心構えとして唱和される。
- 境内に句碑や歌碑があれば、巡礼文学・地域文化の層として参照できる(要現地確認)。
- 弘法大師:開基。寺名は唐青龍寺の恵果和尚にちなむ。
- 嵯峨天皇:独鈷示現の奏上を受けたと伝わる。
- 土佐・伊予の藩主や領主が、近世に祈願所として帰依したと伝わる場合がある(寺伝・地域史)。
参拝の手引き
- 年中行事は霊場会公式サイトを参照。
- 駐車場:普通20台(無料)
- 宿坊:なし
- 奥の院は徒歩約600メートル、海岸部のため足元に注意
- 土佐ICから国道56号線、県道39号線を経て、海沿いの県道23・47号線へ。
- 前の第35番清瀧寺から約8km。次の第37番岩本寺へ約25km。
- 横浪半島の自然公園と一体になった海岸遍路の区間。宇佐大橋の開通以前は渡船を利用した。
- OUV特記:海岸部(横浪)
- 〒781-1165 高知県土佐市宇佐町竜163
- 088-856-3010
- 普通20台(無料)
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。


