第26番 龍頭山 光明院 金剛頂寺

金剛頂寺
本尊薬師如来
おん ころころ せんだり まとうぎ そわか
御詠歌往生に望みをかくる極楽は 月のかたむく西寺の空
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第26番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では26番目です。

縁起と歴史
寺伝によれば、大同2年(807年)、弘法大師空海が平城天皇の勅願を受け、薬師如来坐像を自ら刻んで本尊とし、「金剛定寺」と号して創建したと伝わる。本尊が完成すると同時に、大師が「早く行きて座りたまえ」と言うと、像が自ら本堂の扉を開いて鎮座したという話が残る。のちに嵯峨天皇が「金剛頂寺」の勅額を下賜したことから、現在の寺名に改めたとされる。淳和天皇も勅願所として尊信し、住職は第十世まで勅命で選ばれたと伝わる。山号は龍頭山、院号は光明院。室戸岬の西、行当岬背後の高台(標高169m)に位置することから「西寺」と呼ばれ、東寺(24番最御崎寺)・津寺(25番津照寺)とともに「室戸三山」に数えられる。なお、空海が唐からの帰途に当たる大同元年(806年)に創建したとする説(『南路志』)もある。
弘法大師との関わり
本尊の薬師如来は弘法大師の自作と伝わり、完成と同時に像が自ら本堂の扉を開いて鎮座したという。大師は当地での修行中、天狗などの魔物を説き伏せて足摺岬の方へ追いやった「天狗問答」、楠の洞穴に自らの姿を描いて魔を寄せつけなくした逸話、修行を妨げる毒龍(伏龍)を加持祈祷で退散させた伝承などを残す。大師堂前の「一粒万倍の釜」は、大師が炊いた米が万倍に増えて人々を飢えから救ったとされる。明治初期まで女人禁制の修行道場で、女性は約4km離れた女人堂から遥拝したという。
- 大同元年(806年): 空海が唐からの帰国途次に創建したとする説(『南路志』)
- 大同2年(807年): 平城天皇の勅願により「金剛定寺」として創建(寺伝)
- 嵯峨天皇治世: 「金剛頂寺」の勅額を下賜され改称
- 淳和天皇治世: 勅願所に指定され、住職は第十世まで勅命で選定したと伝わる
- 承和2年(835年): 智光(知光)上人入滅と伝わる(4月21日)
- 文明11年(1479年): 堂宇が火災で罹災
- 江戸期: 長宗我部元親が寺領を寄進、のち土佐藩山内家の祈願所となる
- 寛文5年(1665年): 護摩堂再建と伝わる
- 1899年(明治32年): 大火災で大師堂・護摩堂以外の伽藍を焼失
- 大正2年(1913年): 仁王門再建
- 昭和57年(1982年): 現在の本堂を新建立
見どころ・伽藍
- 西寺室戸三山の一角。東寺・津寺と並び、納経印は「西寺」
- 一粒万倍の釜大師が炊いた米が万倍に増えたと伝わる釜
- 天狗問答大師が魔物を説き伏せ足摺岬へ追いやった伝承
- 霊宝殿金銅旅壇具ほか国重要文化財の宝庫。要予約で拝観
- 秘仏本尊薬師如来は毎年12月31日から1月8日に御開帳
- 厄落としの石段駐車場から本堂へ約134段。手すりに錫杖の装飾
- 霊宝殿は正倉院様式の宝物殿で、弘法大師が旅で用いたとされる金銅旅壇具など多くの国重要文化財を収蔵する。要予約で拝観できる。
- 金銅旅壇具は、大師が各地を旅した際の遺品としてわが国唯一のものと伝わる。
- 本堂(昭和57年・1982年再建)や大師堂のほか、二代智光上人をまつる御廟が境内にある。大師堂は本堂に背を向け、足摺岬方向の西を向く珍しい配置で、裏に天狗問答のレリーフがある。
- 大師堂前には「一粒万倍の釜」があり、弘法大師がこの釜で米を炊くと万倍に増え、人々を飢えから救ったと伝わる。現在は底が抜けている。
- 大師堂前の椿の木は「がん封じの椿」と呼ばれ、撫でるとがん封じになるとされる。参拝で撫で続けられて木肌がつるつるになっている。
- 駐車場から本堂へ向かう約134段の厄落としの石段には、手すりに錫杖の装飾が付く。
- 護摩堂(寛文5年再建と伝わる)や、勅使を迎えた勅使門跡(現在は石段と灌頂堂が残る)、三十六童子像、稚児大師像・修行大師像・魚藍観音(カツオを持つ)など、本坊周辺にも見どころがある。
- 室戸の捕鯨で栄えた歴史を背景に、境内には鯨供養塔がある。
- 当寺から約4キロの行当岬には女人堂と呼ばれる不動堂があり、女人禁制であった当時は婦女子がここから遙拝したと伝わる。
- 若き弘法大師は寺と女人堂の間を毎日行き来して修行したとされ、岬の名「行当」もその行道の名残かもしれないと伝わる。
- 智光(知光)上人御廟は、大師の入定を慕って二代智光上人が入定留身したと伝わる聖地とされる。御廟周囲の丸い石は妊婦に御利益があるとされ、無事出産後に返すしきたりがある。
- 本堂から智光上人御廟へ続く道は高知県指定天然記念物のヤッコソウ自生地で、見ごろは11月下旬から12月上旬とされる。
- 国指定重要文化財: 銅造観音菩薩立像(飛鳥時代後期、1957年指定)
- 国指定重要文化財: 木造阿弥陀如来坐像(平安時代後期、1911年指定)
- 国指定重要文化財: 板彫真言八祖像(鎌倉時代・嘉暦2年=1327年、1914年指定)
- 国指定重要文化財: 銅鐘(高麗時代、1911年指定)
- 国指定重要文化財: 金銅密教法具 一具(鎌倉時代初期、1956年指定)
- 国指定重要文化財: 金銅旅壇具 一具(平安時代後期、1956年指定)。携帯用の密教祭壇具で日本に現存唯一とされる
- 国指定重要文化財: 大毘盧遮那経 7巻(平安時代初頭、1968年指定)
- 国指定重要文化財: 金剛頂経 3巻(平安時代初頭、1968年指定)
- 高知県指定保護有形文化財: 金剛頂寺の仏画 8幅(2005年指定)
- 高知県指定天然記念物: 室戸町西寺のヤッコソウ自生地(1952年指定)
- 室戸市指定文化財: 絹本著色弘法大師像(鎌倉時代)
- 国指定史跡: 土佐遍路道(令和7年〔2025年〕3月10日指定の金剛頂寺道・境内ほか)
信仰と物語
- 本尊の薬師如来は、平城天皇の勅願により弘法大師が刻んだと伝わる。完成と同時に像が自ら本堂の扉を開いて鎮座したという話が残る。
- 本尊は開山以来の秘仏で、毎年12月31日から1月8日まで御開帳される。
- 室戸岬の西側に建つことから「西寺」と呼ばれ、東側の最御崎寺の「東寺」と対をなす。納経印も「西寺」と捺される。
- 薬師如来の病苦を除く誓願に、海の暮らしや飢えに向き合う土地の祈りが重なる。
- 弘法大師が炊いた米が一万倍に増えて人々を飢えから救ったと伝わる「一粒万倍の釜」が残る。
- 大師は当地での修行中、天狗などの魔物を説き伏せて足摺岬の方へ追いやった「天狗問答」の伝承を残す。
- 二代智光上人は、大師が承和2年(835年)3月21日に高野山で入定したと知るや、その後を慕って同年4月21日に当地で入定留身したと伝わる。
- 鯨の供養塔があり、別名「クジラ寺」とも呼ばれてきた。
- 修行を妨げる毒龍(伏龍)を加持祈祷で退散させた伝承も残る。
- 御詠歌「往生に望みをかくる極楽は 月のかたむく西寺の空」が伝わる。
- 寺伝では大同2年(807年)に平城天皇の勅願で弘法大師が開創し、嵯峨天皇が「金剛頂寺」の勅額を奉納したと伝わる。
- 淳和天皇も勅願所として尊信し、住職は第十世まで勅命で選ばれたと伝わる。のちに長宗我部元親の寺領寄進や土佐藩主の保護を受けたと伝わる。
- 二代智光(知光)上人は大師の弟子と伝わり、大師の入定を慕って当地で入定留身したとされる。
参拝の手引き
- 本尊薬師如来の御開帳: 毎年12月31日〜1月8日
- 大師堂の開帳: 旧暦3月21日(正御影供にあたる日)
- 弘法大師像ご開帳: 1月第2日曜日(大師堂)
- 室戸三山の一つで、納経印には「西寺」と捺される。
- 駐車場は普通車約20台で有料、宿坊(西寺檀信徒会館)は約100名を収容すると伝わる。
- 霊宝殿には国の重要文化財が多く収蔵され、室戸を代表する寺宝の宝庫とされる。要予約で拝観できる。
- 納経受付時間は令和6年(2024年)4月より8時から17時に変更された(従前は7時から17時との情報あり)。
- 最御崎寺(東寺)、津照寺とともに室戸三山に数えられ、行当岬の頂(標高169m)に境内が広がる。
- 硯が産出することから「硯が浦」とも呼ばれる行当岬や、女人堂の不動堂が近い。
- 前は25番津照寺から約3.8キロ。次は27番神峯寺へ約27.5キロと、土佐の長丁場の入口にあたる。
- 国道55号沿い、行当岬背後の高台に位置。鉄道は土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「奈半利駅」から約18km。バスは高知東部交通バス「元橋」下車、徒歩約20分(参道入口の駐車場から本堂まで約134段の石段)。車は高知自動車道南国ICから約60km・約1時間30分、室戸市の元橋で左折して約2km。
- 駐車場:あり。普通車20台/200円、マイクロバス3台/400円、大型バス3台/1,000円(7:00〜17:00、納経所で支払い)。
- 納経時間:8:00〜17:00(令和6年=2024年4月より変更。従前は7:00〜17:00との情報あり)
- 宿坊:あり(西寺檀信徒会館、定員約100名)
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。



