四国八十八ヶ所 ・ 高知県(土佐・修行の道場)
第27番 竹林山 地蔵院 神峯寺
霊水「神峯の水(石清水)」で知られる山上の観音霊場。急坂「神峯の遍路ころがし」を登りつめた先にある 御本尊は十一面観世音菩薩です。 高知県・土佐の第27番札所です。

神峰寺
本尊十一面観世音菩薩
おん まか きゃろにきゃ そわか
御詠歌みほとけの恵みの心神峯 山も誓いも高き水音
高知県・土佐修行の道場真言宗豊山派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
- 本尊
- そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
- 御真言
- 本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
- 御詠歌
- その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
- 縁起
- そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
- 札所
- お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
- 大師堂
- 弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
- 奥の院
- 札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
- 結願
- 八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願」ともいう。
- 四つの道場
- 四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心、土佐=修行、伊予=菩提、讃岐=涅槃。
八十八ヶ所のなかの位置
八十八ヶ所の道のりで、第27番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では27番目です。

所在地〒781-6422 高知県安芸郡安田町唐浜2594
前後の札所前は26番金剛頂寺から約27.5km。次は28番大日寺へ約37.5km(いずれも遍路道基準。26→27を約30kmとする出典もある)。
この寺の成り立ち
縁起と歴史
寺伝によれば、神功皇后が三韓出兵に際して戦勝を祈り、天照大神をはじめ天地の神々を祀ったのが起源と伝わる。のち天平2年(730)、聖武天皇の勅を受けた行基が十一面観世音菩薩を刻んで本尊とし、神仏を併せ祀って堂を開いたと伝える。さらに大同4年(809)、弘法大師(空海)がこの地に堂宇を建立し「観音堂」と名付けたと伝わる。本尊の十一面観世音菩薩は行基作と伝えられる秘仏である。古くは山上の神峯神社(奥の院)と一体の神仏習合の聖地で、山名「神峯」がそのまま寺名となった。院号「地蔵院」は、明治の廃寺と再興を経た大正元年(1912)に、茨城県稲敷郡朝日村の真言宗地蔵院の寺基を移して寺号を復興した経緯に由来する。山号「竹林山」と合わせ、現在は竹林山地蔵院神峯寺と称する。
弘法大師との関わり
大同4年(809)、弘法大師がこの地に堂宇を建立し「観音堂」と名付けたと伝わり、開基は弘法大師とされる。山中(標高約483m付近)には、大師が修法・秘策を練ったと伝わる3mを超える「腰かけ岩」が残る。大師堂は平成4年(1992)の建立で、胎内に「光現大師」と呼ばれてきた身丈1尺ほどの石像を納めた木造弘法大師坐像を安置する。
おもな歴史
- 伝・天平2年(730)行基が十一面観世音菩薩を刻み本尊として開創したと伝わる
- 伝・大同4年(809)弘法大師が堂宇を建立し「観音堂」と名付けたと伝わる
- 元和年間(1615〜1624)火災により焼失したと伝わる(神峯神社の焼失・現在地再建時に観音を遷座したとする出典もあり)
- 明治初年 神仏分離令により寺号が廃されて神峯神社のみが残り、本尊は26番金剛頂寺に預けられた
- 明治20年(1887)神峯神社の下段・旧僧坊跡に堂舎を建立し本尊を戻して札所を再興(明治17年/1884説もあり)
- 大正元年(1912)茨城県稲敷郡朝日村の真言宗地蔵院の寺基を移す形で認可を得て寺号復興
- 昭和5年(1930)仁王門(山門)完成
- 平成4年(1992)大師堂完成(14年の工事期間)
- 平成19年(2007)仁王門の屋根葺替と仁王像修復
- 令和6年(2024)4月1日 納経受付時間を8:00開始に変更(従来は7:00)
お参りの前に
見どころ・伽藍
この札所の見どころ
- 遍路ころがし仁王門から続く「真っ縦」の急坂約1キロ。歩き遍路屈指の難所とされる。
- 土佐の関所四国四関所の一つ。邪心ある者は仏罰で入れないと伝わる。
- 神峯の水鐘楼裏手の石清水。土佐の名水40選に数えられ、病気平癒の信仰がある。
- 烏枢沙摩明王トイレ前に安置。不浄を焼き尽くすとされ、婦人科の利益があるとされる。
- 岩崎母の日参弥太郎の母・美和が21日間裸足で往復日参したという伝説が残る。
- 山上の伽藍標高450〜600メートル、160段の石段と庭園が広がり、太平洋を望む。
伽藍・主要堂宇
- 昭和5年(1930年)完成の仁王門(山門)を入ると、急坂「真っ縦」の参道が約1キロ以上続く。古くから歩き遍路屈指の難所「遍路ころがし」として知られ、転ぶ者も多かったとされる。
- 平成4年(1992年)に完成した大師堂は、14年の工事期間を経て建立された。胎内に「光現大師」と呼ばれる身丈1尺ほどの石像を納めた木造弘法大師坐像を安置する。
- 本堂へは160段ほどの石段が続き、沿道には石清水を引いた日本庭園が整う。つつじ・さつき・モクレン・紅葉などが四季を彩る。
- 神峯山中腹(標高約450〜600メートル)に伽藍が広がり、境内や参道からは太平洋を一望できる。
- 鐘楼裏手には「神峯の水(石清水)」が湧き、トイレ前に烏枢沙摩明王の像を祀る。烏枢沙摩明王は一切の不浄を焼き尽くすとされ、婦人科系や下半身の病の平癒に利益があるとして、関連のお札も授与される。
奥の院・霊跡
- 奥の院は山上の神峯神社。神武天皇東征の際にこの峯を神の峯として祀ったのが起源と伝わる。古くは山上の神峯神社と一体の神仏習合の聖地であった。
- 神峯神社本殿は高知県指定文化財(枌葺三面入母屋造、全国的に珍しい構造とされる)。参道の大楠は推定樹齢約900年で、県指定天然記念物とされる。
- 山中(標高約483メートル付近)には、大師が修法・秘策を練ったと伝わる3メートルを超える「腰かけ岩」が残る。
文化財・寺宝
- 神峯神社本殿(高知県指定文化財/枌葺三面入母屋造、全国的に珍しい構造とされる)※奥の院・神峯神社の指定
- 神峯神社の大楠(高知県指定天然記念物、推定樹齢約900年)※奥の院・神峯神社の指定
- 神峯の水(土佐の名水40選に選定)※文化財指定ではないが土佐の名水として知られる
伝わるもの
信仰と物語
御本尊と信仰
- 本尊の十一面観世音菩薩は行基作と伝えられる秘仏で、観音霊場として信仰を集める。
- 四国霊場に4つある関所寺の一つ「土佐の関所」。邪心ある者は仏罰で境内に入れない、悪人を拒むという信仰が伝わる。
- 神峯の水(石清水)は土佐の名水40選に数えられ、病気平癒に霊験あらたかと伝わる。
伝説・説話
- 古くから歩き遍路屈指の難所「遍路ころがし」として知られ、急坂で転ぶ者も多かったとされる。
- 三菱財閥創始者・岩崎弥太郎の母(美和)が、息子の開運を祈り、安芸(井ノ口)の自宅から往復約20キロの道のりを21日間(三七日)裸足で日参したという伝説が残る。
- 神功皇后が三韓出兵に際して戦勝を祈り、天照大神をはじめ天地の神々を祀ったのが起源と伝わる(寺社の縁起伝承)。
文学・和歌
- 御詠歌「みほとけの恵みの心神峯 山も誓いも高き水音」が伝わる。
ゆかりの人物
- 天平2年(730年)、聖武天皇の勅を受けた行基が十一面観世音菩薩を刻んで本尊とし、堂を開いたと伝わる。
- 大同4年(809年)、弘法大師が堂宇を建立し「観音堂」と名付けたと伝わる。
- 大正元年(1912年)、茨城県稲敷郡朝日村の真言宗地蔵院の寺基を移して寺号を復興した経緯がある。
訪ねる方へ
参拝の手引き
年中行事
- 初会式観音護摩法要 1月18日
- 大祭観音護摩法要 8月9日
参拝の実際
- 麓から「真っ縦」と呼ばれる急な遍路道を約1キロ以上登る難所。唐浜駅からは約3.9キロで、山上のため車やタクシーの利用が一般的。
- 納経時間は8時から17時(令和6年4月1日より変更。従来は7時開始)。
- 駐車場は普通車約30台で有料(料金は出典により100円から500円と差がある)。
- 宿坊はない。
周辺・遍路道
- 前の第26番金剛頂寺からは約27.5キロ、次の第28番大日寺へは約37.5キロとされる、遍路屈指の長丁場。
- 土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線「唐浜駅」から、登山車道で山門下の駐車場まで上がれる。
- 神峯山中腹(標高約450〜600メートル)に伽藍が広がり、境内や参道からは太平洋を一望できる。
アクセス
- 鉄道: 土佐くろしお鉄道ごめんなはり線「唐浜駅」から約3.9km。山上のため駅からは車・タクシー利用が一般的。
- バス: 高知東部交通バス「東谷入口」下車。
- 車: 高知自動車道・南国IC等から国道55号で安田町唐浜へ、唐浜から登山車道で山門下の駐車場まで上がれる。
- 徒歩遍路: 麓から「真っ縦」と呼ばれる急な遍路道を約1km以上登る難所。
- 納経時間:8:00〜17:00(令和6年(2024)4月1日より変更。従来は7:00〜17:00で、一部資料は今も7:00〜17:00と記載)
- 宿坊:なし
公式・関連リンク
この記事の拠りどころ
出典
本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。
Wikipedia「神峯寺」(日本語版)
Wikipedia「神峯神社」(日本語版)
第27番 竹林山 地蔵院 神峯寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
instagram「konomineji27」(instagram.com)
goshuin「konomineji-yasuda」(goshuin.net)
town.yasuda.kochi「dtl.php」(town.yasuda.kochi.jp)
kochi tabi「detail.html」(kochi-tabi.jp)
tokushimagoshuin「kouchi-kounomineji-goshuin」(tokushimagoshuin.com)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)




