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四国八十八ヶ所 ・ 高知県(土佐・修行の道場)

第35番 醫王山 鏡池院 清瀧寺

厄除薬師と土佐和紙の水をまつる霊場れいじょう。世界遺産の提案書に景勝地として例示される清瀧寺 御本尊ごほんぞんは厄除薬師如来です。 高知県・土佐の第35番札所ふだしょです。
第35番 醫王山 鏡池院 清瀧寺 境内
境内(Reggaeman / CC BY-SA 3.0)
第35番

清滝寺

本尊厄除薬師如来

おん ころころ せんだり まとうぎ そわか

御詠歌澄む水を汲むは心の清瀧寺 波の花散る岩の羽衣

高知県・土佐修行の道場真言宗豊山派
はじめての方へ|この記事に出てくる言葉
本尊ほんぞん
そのお寺がいちばん大切におまつりする、中心の仏さま。
御真言ごしんごん
本尊に呼びかける、サンスクリットに由来する短い聖なる言葉。
御詠歌ごえいか
その札所をたたえ、巡る心をうたった和歌。
縁起えんぎ
そのお寺の始まりや、いわれを伝える言い伝え。
札所ふだしょ
お参りするお寺のこと。四国遍路では四国八十八ヶ所をめぐる。
大師堂だいしどう
弘法大師(お大師さま)をおまつりするお堂。本堂とあわせてお参りする。
奥の院おくのいん
札所の近くにある、もう一つの聖地。旧境内や、大師が修行したと伝わる岩や滝など。
結願けちがん
八十八ヶ所すべてを巡り終えること。「満願まんがん」ともいう。
四つの道場
四国の四県を、心の旅の四段階になぞらえた呼び名。阿波=発心ほっしん、土佐=修行しゅぎょう、伊予=菩提ぼだい、讃岐=涅槃ねはん。

 

  1. 縁起と歴史
  2. 見どころ・伽藍
  3. 信仰と物語
  4. 参拝の手引き
  5. 出典

八十八ヶ所のなかの位置

徳島県発心の道場1〜23
高知県修行の道場24〜39
愛媛県菩提の道場40〜65
香川県涅槃の道場66〜88
35

八十八ヶ所の道のりで、第35番は 高知県(土佐・修行の道場)にあります。阿波23・土佐16・伊予26・讃岐23ヶ寺のうち、全体では35番目です。

第35番は高知県・修行の道場。
薬師如来(薬師十二神将像)
「薬師十二神将像」高野山櫻池院蔵 出典: Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
所在地〒781-1104 高知県土佐市高岡町丁568-1
前後の札所前の第34番種間寺から約15.0km。次の第36番青龍寺へ約8.0km(塚地坂・竜坂)。
この寺の成り立ち

縁起と歴史

醫王山 鏡池院 清瀧寺は医王山の中腹にあり、土佐和紙や手すき障子紙の産地として知られる高知で、和紙の原料「みつまた」をはぐくむ水源と深く結び付く霊場れいじょうである。縁起えんぎでは、養老7年(723年)に行基ぎょうき菩薩が霊気を感得して薬師如来像を彫り、「影山密院・釋本寺」と名づけて開山したと伝わる。弘法大師こうぼうだいしは弘仁年間(810〜824年)に訪ね、本堂から約300メートル上の岩上に壇を築き、五穀豊穣を祈って閼伽井権現・龍王権現に一七日の修法を行ったという。満願の日に金剛杖で壇を突くと、岩上から清水が湧き、鏡のような池になったと伝わる。そこで山号・院号・寺名を現在のように改め、霊場としたという。この水は田畑を潤し、「みつまた」をさらして和紙を漉くのに重宝され、土佐和紙産業の発展にも役立ったと伝わる。平城天皇第三皇子・真如が大師の夢告で出家し、逆修の五輪塔を建てて入唐したという逸話も残る。江戸期には土佐藩主の帰依が厚く、寺領百石・七堂伽藍がらん・末寺10数ヶ寺をもつ大寺だった。厄除けやくよけ祈願で知られ、本堂の屋根より高い大きな薬師立像がそのしるしである。

弘法大師との関わり

弘仁年間(810〜824年)に弘法大師こうぼうだいしが訪ね、岩上で閼伽井権現・龍王権現に一七日の修法を行い、金剛杖で壇を突いて清水を湧き出させ、鏡池ができたと伝わる。山号「鏡池院」や寺名「清瀧寺」の由来は、この水と土佐和紙の信仰に結び付いている。

おもな歴史
  • 養老7年(723年):行基ぎょうき菩薩が薬師像を彫って開山したと伝わる
  • 弘仁年間(810〜824年):弘法大師こうぼうだいしが閼伽井・龍王権現に修法し、鏡池の清水を湧き出させて山号・寺名を改めたと伝わる
  • 平安期:真如皇子の逆修塔・入唐(伝承)
  • 江戸期:土佐藩主の帰依、寺領百石・七堂伽藍(伝承)
  • 明治33年(1900年):仁王門におうもん建立、久保南窓の天井画奉納
  • 昭和8年(1933年):製紙業者の寄贈による厄除薬師立像(高さ15メートル)建立
お参りの前に

見どころ・伽藍

この札所の見どころ
  • 厄除薬師立像本堂前、台座を含めて高さ15メートル。昭和8年、製紙業者の寄贈。台座の中で88段の戒壇巡りができる
  • 仁王門におうもんの天井画久保南窓(1848〜1917)筆の「蛟竜図」「天女図」
  • 逆修塔真如皇子の生前供養の塔。「不入の山」とされる
  • 鏡池・みつまた土佐和紙の水源信仰
  • OUV提案書に景勝地として例示
伽藍・主要堂宇
  • 仁王門におうもんは明治33年(1900年)の建立。土地の画家、久保南窓の天井画「蛟竜図」「天女図」が奉納されている。墨痕は鮮やかで、流麗な筆致に極彩色がほどこされている。近年「天女図」は獣害を受け、宝物館に移された。
  • 本堂前の厄除薬師如来立像は、台座を含めて高さ15メートル。昭和8年、製紙業者の寄贈による。台座の中では88段の戒壇巡りができる。
  • 逆修塔は真如皇子の生前供養の塔で、現在は「不入の山」とされている。
  • 本堂から約300メートル上の岩上に鏡池があり、弘法大師こうぼうだいしの修法で湧いたと伝わる清水が、土佐和紙の原料「みつまた」をさらす水として重宝された。
奥の院・霊跡
  • 岩上の鏡池や、閼伽井権現・龍王権現を祀る修法場が、奥の院おくのいんにあたる霊跡とされる。
文化財・寺宝
  • 仁王門におうもんの天井画:久保南窓筆「蛟竜図」「天女図」(天女図は獣害により宝物館へ移管)
  • OUV特記:提案書に景勝地として例示
  • 所在地(OUV表):土佐市高岡町
伝わるもの

信仰と物語

御本尊と信仰
  • 本尊ほんぞんの厄除薬師如来は厄除けやくよけと息災延命の信仰を集め、15メートルの立像がその象徴である。
  • 御詠歌ごえいかは、澄んだ水と心の清らかさ、岩の羽衣のような景色を詠む。
  • 土佐和紙や製紙業者とのつながりが深い。
伝説・説話
  • 金剛杖で壇を突くと清水が湧き、鏡のような池になったという伝承。
  • 平城天皇第三皇子・真如の夢告による出家と、逆修塔の建立。
  • 縁起えんぎの逸話は寺伝や地域の伝承として広く語られるが、史実かどうかは学術的な検討を要するものを含む。
文学・和歌
  • 御詠歌ごえいか「澄む水を汲むは心の清瀧寺 波の花散る岩の羽衣」
  • 御詠歌の結びは、極楽や利益、守護など本尊ほんぞん信仰の要点を詠み、参拝の心構えとして唱えられる。
  • 境内に句碑や歌碑があれば、巡礼文学や地域文化の層として参照できる(要現地確認)。
ゆかりの人物
  • 行基ぎょうき菩薩:開基と伝わる。
  • 弘法大師こうぼうだいし:弘仁年間の修法、寺号の制定。
  • 真如皇子:逆修塔(伝承)。
  • 久保南窓:仁王門におうもんの天井画。
  • 土佐藩主:江戸期の帰依。
訪ねる方へ

参拝の手引き

参拝の実際
  • 宿坊:なし
周辺・遍路道
  • 土佐ICから国道56号線を右折し、次の信号を右折して直進、約3km。
  • 前の第34番種間寺から約15km。次の第36番青龍寺へ約8km。
  • OUV特記:提案書に景勝地として例示
アクセス
  • 〒781-1104 高知県土佐市高岡町丁568-1
  • 088-852-0316
公式・関連リンク
  • 四国八十八ヶ所霊場会ページ
  • 霊場会
この記事の拠りどころ

出典

本文の確認に用いた公開資料と、札所別研究記録に記載された書誌情報です。公開本文のURLを確認できた資料はリンクし、書誌情報のみ確認できたものはその旨を明記しています。

kochi bunkazaiの公開ページ(kochi-bunkazai.jp)
Wikipedia「清瀧寺」(日本語版)
第35番 醫王山 鏡池院 清瀧寺|(一社)四国八十八ヶ所霊場会(公式霊場案内)
『四国八十八ヶ所霊場先達教典』((一社)四国八十八ヶ所霊場会編・2006年|書誌情報)
宮﨑建樹『四国遍路ひとり歩き同行二人 解説編』第8版(へんろみち保存協力会・2017年|国立国会図書館書誌)
上野進「四国遍路と札所寺院―香川県の札所寺院調査から―」(『四国遍路と世界の巡礼』5・2020年|愛媛大学リポジトリ)
四国遍路総合研究(霊場資料学)(科学研究費助成事業 KAKEN23K20107|研究課題・成果一覧)
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