平等寺のご本尊である「薬師如来(薬師瑠璃光王如来)」は、東方にある浄土「瑠璃光」の教主として広く信仰されています。一般的には阿弥陀如来の極楽浄土が有名ですが、実際には如来の数だけ浄土が存在し、薬師如来の浄土は東の方角にあるとされています。日本人が古来より「日が昇る東」を再生や復活の象徴として大切にしてきたこともあり、多くのお寺が薬師如来を本尊としてお祀りしています。
薬師如来は、人々の病気平癒や寿命延長など、現世利益を授ける仏として古くから篤い信仰を集めてきました。平等寺の薬師如来さまは、特に足腰や眼病、さらに精神的な病にも御利益があるといわれ、近年ではガン封じや厄滅開運を祈願される方も多くいらっしゃいます。
四国八十八ヶ所の中で最も東に位置するお薬師さまが平等寺の薬師如来です。東方は再生と復活を象徴する方角であることから、四国霊場の中でも格別に力が強い「現世利益随一のお薬師さま」として崇められています。本堂に奉納された三台の箱車(昔の車イスに相当)からも、人々が足腰の病から回復した証がうかがえます。
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弘仁5年(814年)、この地を訪れた弘法大師空海が修行中、心に金色の梵字(種子)が浮かび、やがて薬壷(三摩耶形)を経て薬師如来の尊像へと変化する幻視を得たといわれます。その姿を大師自ら一刀三礼して木に刻まれたのが、現在の平等寺本尊「薬師如来坐像」です。
室町時代に寄木造堅地漆箔仕上げによる修繕が施され、現在のようなお姿となっていますが、左手に持つ薬壷のみは大師の時代そのままと伝えられています。どの角度から見ても大変お優しい表情で、まさに“仏”という佇まいです。
平等寺の境内には、本堂までに山門前の13段、山門後の5段、本堂前の53段と、合計71段の階段があります。境内には常に五色の綱がたなびいており、本尊薬師如来の御手から山門までつながっています。階段を上れない方でも、この綱を通じて薬師如来さまと結縁できるようにと配慮されています。
薬師如来の脇侍には、太陽を表す「日光菩薩」と月を表す「月光菩薩」が有名です。日中は日光菩薩、夜間は月光菩薩がそれぞれ交代制で薬師如来の救済活動を助けるとされています。
さらに「十二神将」という阿修羅たちも、薬師如来をお守りする存在として知られています。これは十二支に対応しており、2時間ごとにそれぞれの神将が守護を担当。各神将のもとには7,000の阿修羅がおり、合計84,000もの阿修羅軍が薬師如来をお守りし、仏の働きを助けていると伝えられます。古代インドで「84,000」は無限に多いことを象徴する数であり、果てしない慈悲の力を表しています。
平等寺の薬師如来さまは、弘法大師空海のご縁によって永く守られ、いまも多くの人々を癒やし続ける頼もしい仏さまです。足腰や眼病、さらには様々な病にお悩みの方は、ぜひ平等寺にお参りいただき、お薬師さまの慈悲にふれてみてください。心身の健康を祈念する方々を、きっと力強くお導きくださることでしょう。
合掌